入社1年目、初めての沖縄キャンプ取材に走り回っています。フリー打撃の柵越え本数を数える日々にも少しずつ慣れてきました。

その中で、ひときわ強烈な打球で宜野座をわかせているのが、高卒5年目の井上広大外野手(22)です。左翼芝生に設置された阪神タイガース「歓迎」の看板を超え、防球ネット最上部に当たる推定130メートルの柵越えも披露しました。

飛距離の秘訣(ひけつ)は何か、打撃練習の置きティーを見ていると独特なバットを振り込んでいました。グリップと芯の間が膨れた練習用のマスコットバット「バレルバット」。バットを内側から出す狙いがあり、今オフから使っているそうです。

スポーツ経験のない文系出身の私の乏しい理解力の中、説明してくださった優しさが身に染みました。説明のためバットに見立てたのはさんぴん茶の入ったペットボトル。通常のバットとの重心やスイング軌道の違いを熱く教えてもらいました。「バットが遠回りしないように。手前に重さがあるので、遠回りしない」。昨季課題に感じていた確率をアップさせる取り組みでした。

今オフは巨人岡本、DeNA牧らと自主トレを行脚。いずれの自主トレにもバレルバットを持参しました。「どういう意識でやってるのみたいな意見交換して、僕はこうやってやってますと話して」。セ・リーグ主砲と有意義な意見交換を行い、宜野座にやってきました。

打撃向上へ貪欲に挑戦中。「まだ始めて2カ月、3カ月ぐらいなので、やっぱり1年間通してが大事だと思う」。森下、前川、野口、福島、ミエセス、ノイジーらとの両翼定位置争いは激しさを増しています。5年目の今季、進化を続ける長距離砲が甲子園でアーチを量産する姿が見たいです。【阪神担当=村松万里子】