阪神大竹耕太郎投手(29)の球団リュックサックのサイドポケットには宝物が入っている。試合前にはシュッとひとかけ。戦闘服を身にまとい、マウンドに向かう。

師匠であり、今季限りで現役を引退した元ソフトバンク和田毅氏(43)から、自身の誕生日に贈られた「GUERLAIN」の香水だ。「誕生日に和田さんにもらって。試合用です。タイガースのユニホームに合う香りにしたとおっしゃってました」。爽やかな品のある香りで、うれしそうに話した。

そこには投手としてだけでなく、人としてのリスペクトが込められている。11月、師匠の現役引退の連絡を受けたときには「びっくりしました」と驚きを隠せなかった。小学2年生で初めて観戦に行った試合で先発していた左腕を今でも鮮明に覚えている。今季、自身は24試合に登板し、11勝7敗、防御率2・80。プロ7年目で初の規定投球回にも到達した。シーズン終了後に連絡した際には「まだまだ自分を変化させて、成長できると思う。今度からはそれ(2桁勝利と規定投球回到達)が当たり前で、そこからどういう風にしていくか考えていけるように、と言われました」と明かした。

今年8月には先発した3試合連続で勝てず、制球にも苦しんだ時期があった。そこで取り組んだのはあえて3月初旬のトレーニング負荷に戻すこと。終盤戦で疲労もたまり、暑さも厳しい時期だが、シーズンイン直前の高めていくころのイメージを持ち、トレーニングに励んだ。「何年も野球をやっていく中でそれでうまくいけば、自信になる。長い目で見て普段から過ごしていった方が、新しいことにもチャレンジできる」。目の前の勝利だけでなく、長期的な視点で考えることで、今季11勝を重ねた。

17日の契約更改でも師匠について「技術面だけではなく、こういう風に生きていきたいなと思わされる方。僕にとって40歳を過ぎても1軍で投げ続けるという目標がある中で、生きた教科書、目指すべき人物像」と熱く語った。22年から参加している自主トレ「和田塾」には4年連続で参加予定。来年も多くを吸収するつもりだ。その背中を追い、さらなる高みへと貪欲に進化を続ける。【阪神担当=村松万里子】

ソフトバンク和田(中央)との自主トレに参加し笑顔を見せる、阪神大竹(右)と富田(2024年1月15日撮影)
ソフトバンク和田(中央)との自主トレに参加し笑顔を見せる、阪神大竹(右)と富田(2024年1月15日撮影)