12月9日に行われた第3回の「現役ドラフト」は今年も高い注目度の中で行われた。1度に12選手以上が移籍するという、歴史上なかったシステムへの関心は大きい。もちろん阪神大竹耕太郎投手(29)ら過去の成功例が期待感を高めているのも間違いない。

阪神は今回、巨人から畠世周投手(30)を獲得した。藤川球児監督(44)も交えて各球団が提出したリストから選定。ほしかった「右の中継ぎ」として指名した。大事な補強のチャンネルとして当たり前のように活用している様子がうかがえる。浜地真澄を手放すことになったが、このクラスの選手を出せば、あの選手を取れる、というシミュレーションもできていた。

嶌村聡球団本部長は3度目の現役ドラフトを終えて「1年目よりも2年目、2年目よりも3年目と、12球団の皆さんの理解が深まっているし、選手のことも思いながらやっている形が見えてきているのでは」と制度の熟成を歓迎した。

選手のことも思って、という部分がもう1つの肝だ。以前、ある球団の編成担当に聞いたことがある。一番心苦しいのは、チーム事情で選手に活躍の場を与えてあげられないことであると。解消の手段にトレードがあるが、相手球団と思惑が合致しないと成立しない。現在、阪神は「年間1件のトレード」の努力目標を設定しているという。それでも今季は成立しなかった。トレードの難しさを表している。

その点、現役ドラフトは全球団必ず1人以上が入れ替わるシステム。細かい事情など関係なく、移籍が成立していく。この強制力こそが最大のメリットといえる。同本部長が言う。

「自チームに来ていただいた選手に絶対活躍してほしいし、出ていく選手も活躍してほしい気持ちがすごく強い。そういった思いで作った制度。これをやることで通常のトレードも活性化するんじゃないかと思う。その意味の相乗効果はあると思います」

貴重な才能がつぼみのまま枯れてしまうことのないよう、知恵を絞ってでき上がった現役ドラフト。波及効果も含めて、1人でも多くの野球人が報われるきっかけになってほしい。【阪神担当 柏原誠】