東芝・宮川哲投手(23=上武大)は1度見たら強烈な印象が残る、プロ向きの剛腕投手だ。射るような眼光の鋭さ、帽子を取ると目に飛び込んでくるツーブロックは個性満点。

フィジカルも常人ばなれしている。昨年の都市対抗では投手としては珍しい右上腕の肉離れを経験している。理由を聞くと「カーブを投げる時に何か痛いなと。検査したら肉離れでした。2週間で治りました」。事もなげに話すところにも、野性味が漂う。

球質では回転数が特徴的。ストレートは2600回転を記録する。「いい時は2500~2600くらいです。出ない時は2300くらいですね」。回転数がものを言うカーブになると「2800です」とポツリ。それを特別なことと思っていないところに、底知れぬ可能性を感じる。

上武大時代からウエートトレーニングに取り組んできたが、東芝に入りその必要性を痛感。意識と知識は飛躍的に増した。「腕を思い切り振っても体がぶれないよう、筋力トレーニングは非常に力を入れて取り組んできました」。夏場もしっかり鍛え、3キロ増の83キロ。プロレスラーを思わせるがっしりした体形が、パワフルなボールの源泉となっている。最速154キロ。高校3年から投手に専念しており「僕の肩、肘はまだまだ新鮮です」と笑う。

その宮川がお手本にしているのがチームメートで、社会人3年目の岡野祐一郎投手(25=青学大)。こちらは、野性的な宮川とはキャラが正反対。ピッチングの完成度が魅力だ。「いかに引き出しを多くするかに取り組んでいます」。足を上げるタイミングをわずかにずらし、突然クイックをまぜたり、ちょっとだけ長くボールを持ったりと、繊細なところで打者のタイミングを狂わせる工夫をする。

「僕には155キロの真っすぐはない。打者の反応を見ながら粘り強くです」。最速は149キロ。大台突破よりも、打ち取るためのアイデアの豊富さが強みになる。【井上真】

ドラフトファイル:岡野祐一郎
ドラフトファイル:岡野祐一郎