日本ハムの評価はデータを一見すると迷います。開幕前の予想が総じてBクラスが多かったのに、ここまで5割ラインにいます。よく踏ん張っている、と感じる方も多いんじゃないでしょうか。防御率はソフトバンクに次いで2位、打率も楽天に次いで2位。これなら投打のバランスからいっても、上位をうかがえる成績で、粘っているともいえますね。

ただし、データを見て評価するなら、もっと貯金があってもおかしくありません。このギャップは何なのか? 今季の試合を見ていて気になるのは、エラー、捕逸が多いことです。

日本ハム栗山英樹監督(2020年7月1日撮影)
日本ハム栗山英樹監督(2020年7月1日撮影)

守備率9割8分3厘はリーグ最下位、もちろん失策41もリーグ最多です。一例を挙げるなら、8月27日西武戦、2点リードの5回1死一、二塁。源田の一ゴロを清宮のエラーで1点差とされ、さらに盗塁後の2点適時打でこの回3点を奪われ逆転されています。試合はサヨナラ負け。大きく影響した3失点といえます。

捕逸の多さも気になります。7個はリーグ最多(西武6個、楽天5個、ロッテ、ソフトバンク2個、オリックス0個)。暴投と捕逸は天と地ほどの違いがあります。ワンバウンド投球をはじいたり、後ろにそらしてピンチを広げるのと、ノーバウンド投球を捕球ミスでは、投手に与えるダメージ、チーム全体が感じるストレスは雲泥の差です。

よくよく見ていくと、日本ハムがいまひとつ上位に食い込めない要因が浮かび上がってきます。つまり「よく粘ってるな」というよりも「もっと勝ってるはずが、ミスで落としている」と評価する方が妥当です。今季の戦いを見てきた感覚として、貯金5くらいあってもおかしくないですね。

勝ち試合をミスで落としている。そういう自己評価ができれば、日本ハムにとって大きな材料になります。なぜなら、それはムチャクチャ上がり目がある、ということですから。ここで失策しない! 捕逸しない! という緊張感が出てきます。ミスしていた場面をノーミスでくぐり抜ければ、それが当たり前となり、プレーの質も上がります。この意識が広がれば、今まで勝ち星がつかなかった投手にも白星がつく可能性があります。そうなると士気があがります。投手陣でもっとも気掛かりなのは有原(4勝6敗)。エースで勝てないと、チームに勢いはつきません。いかにエースに勝ちをつけるか。ひとつの見どころです。

打線では下位の奮起が求められます。上位との連動がない。率直に言って、今は1番から6番までで得点しないと、得点は厳しいですね。チーム打率が良く、ホームラン、打点で2冠の中田がいながら、効率的な得点を奪えないことで、中継ぎ陣にも負担をかけています。

栗山監督はショートスターターを採用していますが、さほど成功していません。交代するタイミングも一貫性がないように映ります。まず、エースを中心に先発の軸を強化。1番打者をポイントに下位と上位の打線の連動をはかる。ただし、失策、捕逸などのミスを改善しなければ、いずれ力尽きて5割ラインを大きく割り込むリスクをはらむ。日本ハムは今が剣が峰です!(つづく)

里崎智也氏
里崎智也氏

◆YouTuber里崎氏の「里崎チャンネル」(登録数約35万人=5日現在)は、「あえて言います!! 各チームのウイークポイント」など、各球団の具体的な課題を私情をはさまず客観的に解説中。