これがマイ侍ジャパン-。東京五輪の24選手の選出が6月に迫っている。日刊スポーツでは国際経験豊富な評論家が独自の視点から、一足先にメンバーを選考。第1回は06年WBC日本代表の谷繁元信氏(50)が精鋭で金メダルへのロードマップを描く。

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阪神佐藤輝はルーキーだがメンバーに選ぶ。外国の投手はストライクゾーンの中で勝負してくることが多く、現状の力ならゾーン内は対応できる。国際大会では未知数な部分も確かにある。だが逆に未知数なだけにみんなが何か困った時に一気に打開してくれそうな雰囲気がある。私が出場した06年WBCでは西岡(当時ロッテ)が動物的な感覚を持ち、何かやってくれそうな空気を漂わせていた。現代表では菊池涼も似ているが、長打力のある佐藤輝はより起爆剤になり得る。

谷繁氏が選ぶ侍ジャパンのスタメン
谷繁氏が選ぶ侍ジャパンのスタメン

こういうタイプばかりだと厳しいが、周りは安定感のある選手でオーダーを組んだ。打順をプレッシャーの少ない7番に置き、8番に坂本を控えさせる。捕手からすれば何か力が読めない打者が7番にいるのは嫌なもので、勝負強い坂本が備え、気が抜けない。8番までジグザグにもなる。相手に継投の戦略を立てにくくさせることもあるが、投手は同じ対象物が続くと制球が整いやすくなり、1回ごとに右左で変わると感覚的にいやらしくなる。

佐藤輝は機動力もある。7、8番から1番柳田、2番菊池涼とある程度、動ける選手が打線の中で固まっていると、作戦的にも動かしやすい。三塁手としても守れ、複数ポジションもこなせる点がある。

谷繁氏が選ぶ五輪代表
谷繁氏が選ぶ五輪代表

投手陣は初見での打ちづらさもポイントだ。1打席で変則投法を攻略するのは難しく、青柳のように140キロ以上出る下手投げに近い横手投げは国際大会では強い。一回り目は通用するし、2打席目でも合わない打者はいる。高橋礼も候補だったが、状態の良さで青柳が上回る。

青柳は阪神では先発で、中継ぎで選んだ則本昂、宮城も本職ではない。だがペース配分が求められる先発だけでなく、全力で投げられる短いイニングでも力が発揮できるタイプだ。先発、中継ぎで7回までを任せ、8、9回を平良、栗林、松井の3人で回す。栗林もルーキーだが150キロ前後の直球とフォーク、スライダーをしっかりゾーンに投げられ、大崩れはしない。

捕手は2人制で「捕手経験のある3人目」は置かない。会沢は代表経験もあり、力はあるが、コンディションに不安を残す。甲斐、梅野は体も丈夫で1試合を任せられる。24人は本当に限られた枠で選ぶのが難しい。全員が戦力として稼働しなければならないし、ベンチとしては不安のない選手をそろえたい。(日刊スポーツ評論家)