侍ジャパン24人の選手が持つ武器やストロングポイントにスポットを当てる連載「侍の宝刀」。ヤクルト村上宗隆内野手(21)は、長打力でチームを引っ張る。メンバー最年少。はつらつと打球を飛ばしていく。

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キングへの階段を着実に上ってきている。村上は13日ソフトバンク戦で、両リーグ最速20号を記録。21歳では1954年(昭29)の中西太氏(西鉄)以来67年ぶり2人目の偉業を成し遂げた。打撃タイトル獲得とオリンピック(五輪)出場を目標に掲げた今春のキャンプ。有言実行とするため、結果で示してきた。「本当に一番になりたい。金メダル目指してやるだけ」と意気込んだ。

渾身(こんしん)のフルスイングで、打球を神宮の右翼席上段に突き刺すこともあれば、逆らわずに左翼席へ運ぶこともできる。多少タイミングを外されてもお構いなし。本塁打のバリエーションは豊富だ。4番候補として大きな期待がかかる。

阪神対ヤクルト 4回表ヤクルト無死、村上は右越え本塁打を放つ(撮影・加藤哉)
阪神対ヤクルト 4回表ヤクルト無死、村上は右越え本塁打を放つ(撮影・加藤哉)

プレー以外でもチームをもり立てる。今季はベンチで感情を爆発させる場面が目立つ。味方が点を取れば、喜びを全身で表現。21歳ながら、年上の選手にも気後れせずに声をかけにいく。「ちょっとシャイなので、慣れればしっかり声を出せると思う。いち早くなじめるように、人見知りせずに頑張ります」と話す。日の丸を背負った舞台でも、村上らしさを発揮できるか。稲葉篤紀監督(48)からは「あの若さで結構声を出してピッチャーを引っ張っていったりする姿も見受けられる。とにかく遠慮しないでどんどんやってほしい」。21歳にかかる期待は大きい。

ヤクルトには北京五輪を経験した青木が在籍。当時の経験を話してくれることも多い。五輪出場が決まり、日の丸を経験したバットマンから送られた言葉がある。

青木 いわゆる五輪の難しさだとか、大舞台の難しさだとか、そんなことはまだ考える必要はないと思いますね。考えなきゃいけない人っていうのは絶対いると思うんですけど、若いうちは怖いもの知らずでいくしかないと思うし、怖いものを知らないのに、怖さを知りながらプレーするのもおかしな話ですから。自分の持っているモノをしっかり出すこと。集中して、レギュラーシーズンで出しているようなプレーをそのまま出せるように、心がけてやっていけばいいと思います。

若いからこそバットを振るだけ。のびのびと。無心のスイングで世界を驚かせるかもしれない。【湯本勝大】