<指名を待つ男たち(4)>

九州アジアリーグの火の国サラマンダーズ(熊本)に「火の玉ストレート」を持つドラフト上位候補がいた。最速155キロの本格派左腕、石森大誠投手(23)だ。9月26日に終了したリーグ戦では、36登板全て救援で2勝1敗19セーブ。36回1/3を投げ防御率1・73、63奪三振をマークした。

ドラフトファイル:石森大誠
ドラフトファイル:石森大誠

5月のソフトバンク3軍戦で自己最速をマーク。ソフトバンクとオリックスで通算182セーブの馬原孝浩ピッチングGM(39)から下半身の使い方などを指導され「爆発的な力が出せるようになった」。カットボールや、馬原ピッチングGM直伝のフォークも武器で「交流戦でプロの2軍と対戦し真っすぐや変化球は自信につながった」という。NPB入りへ「オープン戦からアピールし即戦力として1軍で投げるのが目標」と夢を描く。

明治神宮大会東北地区代表決定戦で力投する東北公益文科大・石森(2019年10月26日撮影)
明治神宮大会東北地区代表決定戦で力投する東北公益文科大・石森(2019年10月26日撮影)

最速149キロだった東北公益文科大時代にプロ志望届を提出も、調査書も届かず指名漏れ。当時は「制球難が課題だった」と悔しさをバネに、社会人の熊本ゴールデンラークスをへて、同チームを母体に創設された新球団「火の国-」で再起を期した。月給15万円ほどというチーム事情の中、情熱を失わず力を高めた。

自然豊かで、農業が基幹産業の人口約1万2000人の石川県宝達志水町生まれ。高校は地元の遊学館に進み、大学は熱心に勧誘された山形へ。縁もゆかりもない熊本行きも、大好きな野球を続けるため迷いはなかった。「真っすぐが魅力」という楽天則本昂が目標。自身も強みの球威で勝負する。【菊川光一】