田村藤夫氏(63=日刊スポーツ評論家)が巨人ドラフト1位の高松商・浅野翔吾外野手(17)のルーキーイヤーに向けて「浅野のRoad to 巨人の星」として、走攻守について3回連載する。1回目は打撃編。

14日、仮契約を終え「開幕一軍」と書いた色紙を手に笑顔を見せる浅野
14日、仮契約を終え「開幕一軍」と書いた色紙を手に笑顔を見せる浅野

最大の魅力は打力になる。巨人、阪神が1位指名で入札し、抽選で原監督が引き当てた。こうしたいきさつからも、浅野のスター性が感じられる。

注目されるがゆえに、高卒ルーキーには重圧にもなり得る。それが打撃に影響しないためにも、今の自分に何が出来て、何が出来ないかを明確にしてプロの世界に入ってほしい。

甲子園、U18W杯の国際大会を通じて感じるのは、強くスイングできる強みだ。特にU18W杯のメキシコ戦では木製バットで左中間スタンドに運んだ。投手のレベルもあるが、まずは木製バットでも自分のタイミングでとらえることはできている。

木製の対応に時間がかかる高卒ルーキーは数多くいる。浅野も現時点で対応できるとは言い切れない。それは、プロの投手のボールを知らないからだ。大学生との壮行試合で楽天にドラフト1位指名された荘司(立大)の150キロ後半の真っすぐ、キレのある変化球に自分のスイングができなかった。

8月、高校日本代表対大学日本代表 1回表高校日本代表無死、捕邪飛に倒れた浅野。手前は大学日本代表先発の荘司
8月、高校日本代表対大学日本代表 1回表高校日本代表無死、捕邪飛に倒れた浅野。手前は大学日本代表先発の荘司

それは当然のことで、高校生相手にトーナメントを戦ってきた浅野は、これからより高いレベルの投手と向き合う。今は高松商で練習をしていると思うが、許される環境の中でしっかり体を動かし、数多くバットを振っていくことだ。

これまでの打撃を見て感じるのは、ホームベースを内角、外角に半分に分けると、外角のコースも引っ張っている。コースに応じて右方向へ運べれば、技術的にはよりレベルが高いと言えるが、むしろ高校生レベルでは浅野の力量が上回っていた。この部分は意識して対応すべきだろう。

合同自主トレを経て、キャンプでフリー打撃に臨むが、まずミートを心がけることだろう。バッティング投手は打たせてくれる役割だ。打ちやすいボールを投げてくれるのだが、それを長打ばかり狙ったスイングをしないことだろう。

まずは基本に則して、ミートすること、ライナー性の打球を心がけること。右中間、左中間を抜く強いライナーを打てるようになれば、プロのキャンプの雰囲気にも慣れ、少しずつペースをつかめるだろう。

少し気は早いが、特に巨人はメディアが多い。柵越え数をカウントされるなど、気が散る部分もあるだろうが、そこで集中力を維持できなければ、自分で苦しむことになる。年末年始に向け、木製バットで振れるだけ振り、気負わず巨人の仲間入りをすることだけ考えてほしい。(つづく)