今季のMLBは、18日と19日のカブス-ドジャースの日本開幕戦(東京ドーム)で幕を開ける。大谷翔平投手(30)山本由伸投手(26)佐々木朗希投手(23)が所属するドジャースと対戦するのは、鈴木誠也外野手(30)と今永昇太投手(31)を擁するカブス。2選手以外にも数多くある注目すべきポイントを紹介する。

キャッチボールするカブスのプレスリー(撮影・鈴木みどり)
キャッチボールするカブスのプレスリー(撮影・鈴木みどり)

昨季、83勝79敗と勝ち越しながらポストシーズン進出を逃したカブスにとって、最大のアキレス腱(けん)となっていたのが、クローザーだった。前半戦につまずいた昨季は、1点差試合で23勝28敗。接戦を落とすパターンが続出した。シーズン途中に抑えのネリスを放出したこともあり、最終的には9人がセーブを挙げるなど、クローザーを固定できず、涙をのんだ。

その反省から白羽の矢を立てたのが、通算112セーブのベテラン右腕ライアン・プレスリー投手(36)だった。

23年まではアストロズで試合の最後を締めくくっていたが、アストロズが快速左腕ヘイダーを獲得したことで、昨季はセットアッパーへ配置転換された。19年にメジャー新記録の40試合連続無失点を樹立したほか、22年の世界一をはじめ18年以来、昨年まで7年連続でポストシーズンを経験。通算47試合に登板し、14セーブ、防御率2・78の底力は、ベテランとなった今も、依然としてサビついていない。

23年のWBC米国代表でもあり、大舞台での経験が豊富な右腕に狙いを定めたカブスが、アストロズへ積極的にトレードを持ちかけ、プレスリーのトレード拒否権を破棄させてまで、今年1月に成立させた。「僕は勝つことが大好きだ。地区優勝はゴールのひとつ。だが、ワールドシリーズを勝つことが最大のゴール。闘争心がない限り勝つことはできない。互いに強くしのぎ合わない限り、そんなことは起こりえない」。ポストシーズンの常連となった強豪アストロズで生き残ってきたベテラン右腕の言葉は、説得力に満ちていた。

ファンにボールをプレゼントするカブスのプレスリー(撮影・鈴木みどり)
ファンにボールをプレゼントするカブスのプレスリー(撮影・鈴木みどり)

メジャー2年目で開幕投手に指名された今永昇太投手(31)をはじめ、ジャスティン・スティール(29)、ジェイムソン・タイロン(33)ら先発陣は安定感もあり、投手陣全体のバランスはアップした。その一方で、16年世界一の貢献者で「プロフェッサー(教授)」の異名を持ち、投手陣の指南役だったベテラン右腕カイル・ヘンドリクス投手(35)が、FAでエンゼルスへ移籍。投手陣の支柱が不在となった。それだけに、勝つ喜びと同時に、その厳しさを知るプレスリーは、カブス投手陣全体の「核」としても不可欠だった。

メジャー13年目を迎えるプレスリーへの期待値は、目先の試合だけではない。昨季途中からクローザーとして9セーブを挙げ、近い将来のクローザーとして期待されるポーター・ヘッジ投手(24)の「師匠」としても期待されている。そんな役割をベテラン右腕は、十分に認識していた。「我々は毎日、より良くなるようにやっているよ。それが春季キャンプ。彼がいい道を歩めるように、できる限りの手助けをしたい。フィールド内外でどんな質問でもあれば、彼のためになりたいね」。目先の勝利だけでなく、チーム再建の一端をも担えるベテランは、メジャー広しといえども、そう多くはない。

大都市シカゴで絶大な人気を誇る古豪カブスは、資金的にもメジャーでは上位にランクされる。ただ、近年のドジャースのように巨額の投資に頼ろうとはしていない。チームを統括するホイヤー編成本部長は昨オフ、口調を強めて言った。「将来のことは分からない。だが、長いスパンでこのチームが良くなることはお見せできたと思う」。過去2年間、狙っていた大谷、山本、佐々木の「侍トリオ」の獲得にはいたらなかった。だが、知将カウンセル監督をはじめ、ターナー、プレスリーら可能な限り、必要なピースはそろえた。今季だけでなく、今後もポストシーズンの常連となる強豪復活へ-。ドジャース相手の日本開幕シリーズが、その再出発点となる。【四竈衛】(この項終わり)

◆ライアン・プレスリー 1988年12月15日、米国テキサス州ダラス生まれ。エドワード・マーカス高から07年ドラフト11巡目(全体354位)でRソックス入団。13年4月にツインズでメジャーデビュー。18年7月にアストロズ移籍。同年8月から19年5月までメジャー記録の40試合連続無失点。19、21年球宴出場。23年WBC代表。今季年俸1400万ドル(約21億円)。188センチ、94キロ。右投げ右打ち。

プレスリーの年度別メジャー成績
プレスリーの年度別メジャー成績