全日本大学野球選手権(神宮、東京ドーム)が9日、開幕する。代表校の中から、8人の注目選手を全4回で紹介する。頼もしい4年生たちの活躍が大会の命運を握る。2年連続16度目出場の早大(東京6大学)の伊藤樹投手(4年=仙台育英)は令和初となるノーヒットノーラン達成の勢いそのままに、昨年準優勝に終わった悔しさをバネに悲願の日本一を目指す。

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3年春からエースナンバー「11」を背負う伊藤樹の存在なくして、早大のリーグ3連覇は語れない。今季のターニングポイントについて、小宮山悟監督(59)は「怒涛(どとう)の5連勝の始まりでしょ」と明大2回戦を迷わず挙げた。令和初のノーヒットノーラン。過去に1度もノーノ-を喫したことがなかった明大相手の快挙に「1人のピッチャーによって打ち砕かれた。これは結構なショックだったと思う」と力説した。

伊藤樹の憧れの投手は、かつてオリックスなどで活躍した金子千尋氏。制球力と試合を壊さない安定感を強みとしてきたが、立大3回戦で大乱調。右手人さし指のマメがつぶれ「野球人生ワースト」と言い切る3回8失点を喫したが、その試合で見せた姿勢こそが真のエースへと近づけた。

降板後はベンチ最前列から声を張り上げて味方を鼓舞し、雑務も率先してこなした。誰よりも悔しいはずなのに。献身的な姿が「エースが8点取られて負けるわけにはいかないだろ」(小沢主将)とチームメートたちを奮起させ、一時は同点に追いついた。マウンド上だけが仕事ではない。「日頃の生活や周囲から認められる人間性があってこそ、本当のエースになれる」と思いを強くした。

「チームを勝たせるために、エースとして自分が投げられるところまで投げる。それが一番勝てる」。昨年は決勝で青学大に敗れ届かなかった日本一。来たる今年の選手権へ「一戦必勝でいきたい」と静かに闘志を燃やした。【平山連】