全日本大学野球選手権(神宮、東京ドーム)が9日、開幕する。代表校の中から、8人の注目選手を全4回で紹介する。頼もしい4年生たちの活躍が大会の命運を握る。3年ぶり28度目出場の神奈川大(神奈川大学)は吉岡道泰外野手(4年=専大松戸)が主将としてチームを引っ張り、3年ぶりの勝利を目指す。
◇ ◇ ◇
神奈川大の吉岡は主将として、高校以来の全国の舞台に戻る。覚えているだろうか-。21年センバツ初戦の中京大中京戦。ダイビングキャッチを試みたが捕球できず、決勝のランニング2ランを許して敗戦。夏の千葉大会決勝では延長13回タイブレークの末に、無死満塁から劇的なサヨナラ満塁弾で甲子園出場。春は悔し涙、夏はうれし涙で、話題になった選手だ。高校卒業後は「教員を目指したい」と神奈川大に進学した。
大学も悔しさからのスタートだった。「レベルが高く、なかなか試合に出られなかった」。1年時、球場に行くと声が聞こえる。「あれ、あの時の吉岡? まだ辞めてなかったんだ」。悔しさの一方で、教職課程の授業で練習もままならない。「自分なりに頑張っているのに結果はついてこなかった」。プレッシャーに押しつぶされそうになっても「4年後、結果を出す」と自らに言い聞かせた。
このままでは何もかも中途半端になってしまう。2年になると将来を見据え、教職授業にウエートを置いた。秋に岸川雄二監督(51)から応援団長へ指名されたことが転機になった。「ただ試合を見るだけでなく、応援団長として下級生をまとめる。それまで気付かなかった視点を学べました」。外からチームビルディングを学び、昨秋の新チーム結成時には「(主将は)吉岡しかいない」と言わしめる存在へと成長した。
今春開幕戦は1番左翼で出場。6試合に先発出場したが、右手を痛め、後半戦はムードメーカーとしてチームをもり立てた。「今年のチームは、劣勢でもはね返すことができるチームです」。まさに吉岡の生き方そのもの。立場が変わっても、勝利への思いは変わらない。選手権でもムードメーカー、代打の切り札として輝く。【保坂淑子】
◆吉岡道泰(よしおか・みちやす)2003年(平15)5月4日生まれ、千葉県松戸市出身。小2から江戸川中央リトルで野球を始める。専大松戸では1年春からベンチ入り。21年は春夏甲子園出場。181センチ、82キロ。右投げ左打ち。




