高校野球での指名打者(DH)制導入にあたって、日本高野連では審判規則委員が中心となり、要点解説やケーススタディという形で具体例を示している。どういう意図で記載に至り、注意点はどこにあるのか聞いてみた。
新たに採用されるDH制は公認野球規則「5・11指名打者」に規定されている。日本高野連のホームページにも導入にあたり「指名打者について」との項目で要点解説。理由を同連盟の尾崎泰輔審判規則委員長は「いま一度規則を正しく理解してもらうため、具体例で示すことで現場の混乱を防ぎたい」と説明する。
DHとは投手に代わって打つ選手を指名できるルールである。指導者の中で一定数知られていないのが「投手にのみ採用できる」点だ。投手が投球に専念することができるもので、打力の弱い野手に変わって起用することはできない。
DHに関しては「試合開始前の申告が必須」「チームが指名打者を使用するか選択できる」と明記されている。尾崎氏も「使っても使わなくてもいい。選択したら規則上の制約が出てくること、交代のタイミングやDH制が解除となる影響など、十分理解した上で判断してください」と話す。
使用するときに注意すべき点は「DHが消滅するケース」が五つあることだ(表1)。高校野球の指導者からは消滅するケースの問い合わせが多いという。一度消滅すると試合中に復活はできないためだ。大学では試合中の消滅はたまにあるが、プロではめったにない。ただ、「プロで最近あったのは23年WBCの決勝です」と振り返るのは日本高野連審判規則委員の吉岡浩伸さんだ。「最後に登板したときに消滅している。あのときは5・11(a)で(指名打者として)スタートしていて9回にDHを消滅させてポジション(投手)につかせてます」と解説する(表2)。歴史的瞬間の裏で、規則上プロでは珍しい現象が起こっていた。
高校野球でのDH制は5・11(b)の先発投手を指名打者として同時に出場させることを認める「大谷ルール」も採用となる。「投手としても打者としても高い能力を持つ選手がその力を発揮できるようにするため」(尾崎氏)で、選手を守りつつ特徴を生かすことができる。
また、「指名打者は先発投手に少なくとも1度は打撃を完了させなければならず“当て馬”はできない」などさまざななルールがある。正しく理解した上でうまく使いこなせるかにも注目だ。【林亮佑】






