夏の甲子園を目指す熱い戦いが先週26日、全国のトップを切って南北海道で開幕した。今年も先日(6月19日)、高校野球ファンのNさんから恒例のメールが届いた。

Nさんから「優勝校予想メール」が届くのは今年で9年連続。新型コロナで中止となった昨年も{幻の夏」と題してメールをいただいた。Nさんは毎年、地方大会開幕前に(代表が決まってからではない)夏の甲子園優勝チームを予想する。過去7年(2013年~19年)で外したのは13年の前橋育英と19年の履正社の2度だけ。

予想の方法は、例年10校程度を候補に挙げ、この中から優勝チームが出れば的中となる。今年は自信たっぷりなのかわずか4校。ちょっぴり心配だが、紹介したい。

<Nさんの優勝予想4校>

仙台育英(宮城)

大阪桐蔭(大阪)

花咲徳栄(埼玉)

智弁学園(奈良)

<Nさんの見解=原文まま>

今夏は、仙台育英、大阪桐蔭、花咲徳栄、智弁学園によるV争いと予想する。

仙台育英は、昨夏の「幻の甲子園」でも優勝候補にも挙げさせてもらったが、走攻守のバランスは全国ナンバーワン。投手陣は最速147キロのエース伊藤樹に加え、右の吉野蓮、松田隆之介、左の古川翼(2年)がセンバツ甲子園のマウンドを経験した。分厚い投手陣を擁する須江監督は、さらなる秘密兵器を用意しているはずだ。野手は、吉野、秋山俊、八巻真也、浅野洸司、渡邉旭らを中心に切れ目がない。春の県大会では、5試合で投手11人が登板し、毎回ベンチ入りメンバーを変更して40人以上が出場した。そんなプロ野球球団のような高校チームは、全国を見渡しても仙台育英だけだ。激しいチーム内競争を経て、悲願の東北勢初優勝に挑む。

今年の大阪桐蔭は、3、4番を打つ池田陵真と花田旭の両外野手の前後を、宮下隼輔三塁手、前田健伸一塁手、藤原夏暉遊撃手、野間翔一郎外野手ら実力者が固める。誰もがチャンスメーカー、誰もがポイントゲッターという打線は仙台育英に似ている。問題は投手陣だ。センバツで期待外れに終わった松浦慶斗と関戸康介の復調がカギとなる。松浦は、立ち上がりに難があるため、西谷監督は、大阪予選の当初は、安定感のある竹中勇登と次期エースの川原嗣貴(2年)を先発で回し、前半の大量失点を防ぎ、松浦と関戸をリリーフで使うだろう。松浦は20年夏の大阪大会での履正社戦、その後の甲子園交流試合での東海大相模戦では、リリーフ登板で剛腕ぶりを見せつけた。登板を重ねるうちに松浦先発パターンが出てくれば、大阪桐蔭の甲子園V10が、西谷監督の視野に入ってくる。

2017年の夏を制した花咲徳栄は、虎視眈々と2度目の全国制覇を狙っている。松田和真、堀越啓太、高安悠斗の145キロ右腕トリオを、浜岡陸、冨田隼吾、飛川征陽らの強力打線が援護する。

4校目は、智弁学園。秋の近畿V、センバツベスト8、春の近畿準Vと、コンスタントにその実力を証明済み。西村王雅と小畠一心のダブルエースと、前川右京外野手と山下陽輔三塁手を中心とする野手陣は、大舞台の経験値としては前記の3校を上回る。大阪桐蔭との「4度目の正直」は実現するのか。

夏の甲子園優勝の条件であるマル秘「Nデータ」を完全にクリアしているのは以上の4校になる。これらの高校が組み合わせでバラければ、どこかが優勝すると断言できる。同じ山に入り、早い段階でつぶし合えば、他校にチャンスが出てくることになる。

以上がNさんの見解。「Nデータ」なるものを早く公開してほしいものだが「墓場まで持って行く」と決して口を割ろうとしない。ただ、過去の予想の傾向から分かるのは(1)複数の好投手がいる(2)大舞台の経験が豊富、の2点か。最後に私の当たらない予想も記しておきたい。Nさんとかぶってしまうが大阪桐蔭が大本命。

センバツでは実力を発揮できなかったが、滋賀県で行われた近畿大会3試合を見て確実にチーム力がアップしたと感じた。松浦、関戸のプロ注目コンビは登板しなかったが、竹中、川原の2人が成長した。野手では2番を打つ藤原夏暉遊撃手(3年)が素晴らしかった。決勝の智弁学園戦でサヨナラ本塁打。スイッチヒッターの好打者だが守備もうまい。いかつく精悍(せいかん)な顔つきが並ぶ大阪桐蔭ナインの中で何とも優しそうな微笑みも印象に残った。それはともかく試合前のシートノックで見せたスキのない守り。外野手の肩の強さ、正確なスローイング。スタンドからは思わず拍手が起こったほど見事だった。春の負けを糧に成長した大阪桐蔭が2年ぶりの夏の甲子園の主役になると見た。

地方大会は8月2日の東西東京大会決勝(東京ドーム)で全49代表が決定。夏の甲子園は同9日に開幕する。

【デジタル編集部 福田豊】