首位を走る阪神は、新人のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)と同6位中野拓夢内野手(24)が先発メンバーに名を連ねている。佐藤輝は開幕戦に6番右翼で先発。全試合に出場し、先発を外れたのは4月4日中日戦だけ。大山に代わって4番も11試合務めた。中野の初先発は4月10日DeNA戦。ここまでチーム60試合のうち、2人がそろって先発したのが43試合ある。1発が魅力の佐藤輝に対し、中野は俊足を武器にチーム最多の13盗塁をマーク。開幕から12回連続で成功させ、盗塁失敗は6月12日楽天戦だけ。2リーグ制後、新人がデビューから12回連続盗塁成功は、79年高代(日本ハム)81年石毛(西武)の10回連続を抜く新記録だった。

阪神佐藤輝と中野の打順別試合数
阪神佐藤輝と中野の打順別試合数

14日現在、中野は規定打席に2打席足りない。佐藤輝に加え、中野も早ければ18日からの巨人3連戦で規定打席に到達しそうだ。野手の場合、レギュラーと呼べるのは、やはり規定打席をクリアした選手になるだろう。ドラフト制後の55年間(66~20年)を調べると、新人で規定打席に到達したのはセ・リーグが23人、パ・リーグは17人。昨年は小深田(楽天)だけだった。年平均が両リーグ合わせて0・7人だから、新人にとっては高い壁だ。

ドラフト制後、規定打席に到達した新人(セ・リーグ)
ドラフト制後、規定打席に到達した新人(セ・リーグ)
ドラフト制後、規定打席に到達した新人(パ・リーグ)
ドラフト制後、規定打席に到達した新人(パ・リーグ)

同一リーグのルーキー2人が規定打席到達は99年セ・リーグの二岡(巨人)と福留(中日)が最後で、同一球団の2人となると、ドラフト制以前の62年東映の青野修三と岩下光一までさかのぼる。二塁と遊撃が固定できずに苦しんでいた水原監督は、新人の青野と岩下を抜てき。2人は監督の期待に応え、青野が二塁を128試合、岩下は遊撃を126試合守った。新人コンビのおかげで課題が解消された東映は、主砲張本や新人投手尾崎の活躍もあって球団初のリーグ優勝を飾り、日本シリーズでは阪神を倒して日本一に輝いた。

1962年10月、東映日本一祝勝会で笑顔を見せる、左から種茂雅之、土橋正幸、岩下光一、青野修三、安藤元博、張本勲
1962年10月、東映日本一祝勝会で笑顔を見せる、左から種茂雅之、土橋正幸、岩下光一、青野修三、安藤元博、張本勲

69年ぶりに規定打席到達の新人コンビが誕生し、東映の2人のようにチームを優勝へ導けるか。リーグ戦再開後も佐藤輝と中野の活躍に注目したい。【記録室】