リーグが違うだけでここまで違う? 今季のポジション別の打撃成績を調べてみた(9日現在)。打者の攻撃力を表すOPS(出塁率+長打率)で、三塁手の成績で両リーグで大きな差が出ている。セ・リーグは・776で守備位置別のトップに対し、パ・リーグは・521で、捕手に次いで低かった。球団別でもパ・リーグ1位の楽天が、セ・リーグ6位の阪神よりも低い数字に。シーズン途中とはいえ両リーグでここまで差が出るのは珍しい。

今季の守備位置別OPSと球団別三塁手OPS
今季の守備位置別OPSと球団別三塁手OPS

最近5年のパ・リーグ三塁手のOPSを見ると、20年から7割以下と低迷。近年のリーグを代表する三塁手の中村(西武)と松田(ソフトバンク)が成績を落とし、レアード(ロッテ)も一塁やDHでの出場が増えたことで、一気に強打者が不在に。加えて今季は、ソフトバンクで新戦力と期待されたガルビスの不振(三塁ではOPS・335)など、調子の上がらない三塁手が目立つ。苦しむチームが多い中、首位を走る楽天は茂木の離脱がありながらも鈴木大が調子を上げてカバー。他チームに差をつける格好となっている。

最近5年の三塁手OPS
最近5年の三塁手OPS

一方、セ・リーグ三塁手の最近5年の成績を見ると、19年はリーグ全体より低かったものの、翌20年から数字が上がり、20、21年は守備位置別のリーグ最高値。宮崎(DeNA)や大山(阪神)らに加え、村上(ヤクルト)と岡本和(巨人)が入ったことで一気にリーグ最激戦区になった。今季も石川昂(中日)や坂倉(広島)、打席は少ないが佐藤輝(阪神=三塁でOPS1・059も、チーム最多打席は糸原)がおり、激戦ぶりは健在だ。

DeNA宮崎敏郎(左)と楽天鈴木大地
DeNA宮崎敏郎(左)と楽天鈴木大地

パ・リーグでは野村(日本ハム)のような若手もおり、長期的な活躍が見込める選手も出てきてはいる。ソフトバンクでもリチャードが昇格し、持ち前の長打力を発揮できれば、ここから数字を改善していくかもしれない。リーグを代表する強打者が増え、セ・リーグに負けないような激戦区復活を期待したい。【多田周平】