左から下柳剛氏、金本知憲氏、阪神矢野燿大監督
左から下柳剛氏、金本知憲氏、阪神矢野燿大監督

「オレがヤル!」をキャッチフレーズに掲げる指揮官・矢野燿大が「オレはヤラない!」と宣言した話から書く。

矢野は1968年(昭43)12月生まれ。有名な「3億円事件」が起こったこの年はプロ選手が豊作だったと言えるかもしれない。大リーグ経験組の野茂英雄。さらに長谷川滋利、高津臣吾がいる。阪神では前監督の金本知憲、下柳剛、そして矢野だ。阪神は同学年同士での監督交代となったわけだが、同じセ・リーグにはもう1人、同学年の監督がいる。

今季、昨季リーグ3連覇を達成した広島の指揮官・緒方孝市である。その緒方が先日、面白いことを言った。

緒方 43年生まれはいい選手が多かったんで「昭和43年会」とか、あってもおかしくはないんですけど。ないんです。これが。お互いに仲が悪いとかはないし、グラウンドとかプライベートでも偶然に会ったりすれば普通に話したりはしますけどね。

球界では古田敦也、山本昌らの「昭和40年会」、また三浦大輔、中村紀洋らの「昭和48年会」が有名だ。メンバー的には「昭和43年会」が存在してもよさそうなものだが「ない」という。念のため、矢野にも聞いてみた。

矢野 ああ。ないですね。以前につくろうかという話が出たこともあったけど、結局、できなかったですね。ああいうのは幹事役というか「オレがヤル!」っていう人間がいないとダメなんだけど、いなかったですね。オレもやらないしね。

「オレがヤル!」ではないのか。思わず突っ込んでしまう。まったく違う話だけど。

キャンプも実戦が中心になってきた。21日には宜野座で阪神と広島との練習試合が行われる。宜野座でのTC戦は04年以来、実に15年ぶり。諸事情があって組まれていなかった。だが「阪神宜野座元年」の03年には宜野座で行われた。そのとき仰天したのはケーブルテレビの生中継に両軍の指揮官が登場したことだ。

阪神はもちろん星野仙一。広島は山本浩二だ。そこに阪神チーフ打撃コーチだった田淵幸一も加わっての3ショット。練習試合とはいえ、ちょっと考えられない光景だ。ファンはもちろん、メディアも驚いた。この3人は1946年(昭21)の学年。「昭和21年会」の存在も聞いたことはないが仲は良かった。

新生・矢野タイガースと4連覇を目指す緒方カープの初対決だ。この2人が試合中に並んでテレビに出れば面白いがそんなことは起こらない。なので矢野の「ファンを喜ばせる」目標は、試合内容で達成してほしい。(敬称略)