巨人原辰徳監督は尊敬すべき点も多いと感じていますし、読売巨人軍そのものに何の含むところもないと先に書いておいた上で、言いたいのです。

広島、そして阪神よ。クライマックスシリーズに巨人を進出させるな、と。

これまでも書いてきましたが、セ・リーグには1つの大きな特徴があります。それは「関東有利」ということ。細かくは言いませんが選手のコンディションに大きく影響することの1つに日程があります。

そしてこの日程、必然的に移動が少なくなる東の3球団、そう東京がホームの巨人、ヤクルト、そして横浜を本拠とするDeNAが恵まれています。

例えば巨人は東京ドームで主催試合をした次のカードが横浜でのビジターとなれば新幹線などでの長距離移動は不要。「自宅からは横浜の方が近い」という巨人関係者もいます。

反対に不利なのは、これはもう、もっとも近い甲子園(兵庫・西宮市)までも2時間近くかかる広島でしょう。その次が阪神です。

中日は名古屋という全国的に見れば便利なところにありますが、それでもビジターはすべて新幹線などを利用します。関東3球団と比べれば、やはり不利と言えるでしょう。

これまでその部分をあまり感じなくてすんだのは、という言い方もおかしいですが、これまで多くのシーズンにおいてセは「東京の巨人」に対して「西の阪神」、そして広島、中日が挑戦するという構図になっていたからではないでしょうか。

しかし今季は“おそろしい”ことになっています。優勝は間違いなくヤクルトでしょう。そして2位にチーム改革に成功したDeNAが入りそうです。ここに巨人が3位で食い込めば…。クライマックス・シリーズは関東3球団での決戦となるのです。

日刊スポーツが誇る東京本社「記録の鬼」伊藤友一記者によると、関東3球団がすべてAクラス入りしたのは、1950年(昭25)のリーグ分立以来、1度だけといいます。

それは01年。ヤクルトが優勝、2位巨人、横浜3位というシーズンです。(ちなみにBクラスは広島、中日、阪神の順)。なので今回、巨人が3位に入ると「関東3球団Aクラス」はそれ以来、21年ぶり2度目になります。

「関東有利」は昔から分かっていること。さらに日程、移動の多少だけが勝負を左右するはずはありませんなにより実力の世界だから仕方がない。それでも巨人ファンには誠に申し訳ありませんが、ここまで結果としてハッキリ出てしまうと正直、おもしろくない気もしてしまいます。

独断と偏見で言わせてもらって、ここは過去に担当記者として取材した阪神、あるいは広島になんとかAクラスに食い込んでほしい。それがセ・リーグのためでもあるのでは…。そんな思いで最終盤の戦いを見ています。【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)