38年ぶりの日本一輝いた。しばらくは余韻を楽しみたいところだが、チームは早くも2024年シーズンへ進みだした。
高知・安芸での秋季キャンプ。そこに見るスタッフの顔ぶれは変わっていなかった。日本一コーチ陣は全員留任。新たに上本と渡辺がコーチに就任。そこにうわさされていたOBの名はなかった。
鳥谷、藤川球児の入閣はあるのか…。彼らの名前は、コーチ人事の時になると必ず出るけど、早い時点で今回もスタッフ入りはなし。情報は回っていた。2人だけではない。監督の岡田彰布と近い関係とされる例えば関本、桧山、赤星とか。候補は多くいるが、まだ時期尚早なのか、うわさはうわさのまま、来シーズンを迎えることになった。
うわさといえば、ひとつ気になるものがあった。それはヘッドコーチ、平田勝男の進退に関するもの。「ヘッドコーチが今季限りで、ユニホームを脱ぐかも?」。その理由といのが「体調の問題では」と、うわさは水面下で広がっていた。
実際、岡田にもそういう話はあった。暑い夏に岡田は、こんなことを思った。今年限りで辞めてもいいか…と。本人に確かめると「そう考えたこともあった」と認めているが、一方で、もし、自分が辞めたら、あとはどうなる? とチームの明日を考え、2024年もやる! そう決めたとのだった。
岡田は11月25日で66歳を迎える。平田は岡田の2歳下。彼ももう64歳になっている。いつも元気印の平田というイメージが強いけど、年齢的は大ベテランのヘッドコーチ。その立ち位置は変わらない。
結果はうわさ話はうわさだけで終わり、来年も岡田-平田ラインは継続となった。岡田はあまり口にしないが、平田への信頼は揺るぎのないものになっている。岡田の性格を熟知し、岡田の野球を理解し、チームの中での自分の役割を、平田は把握している。
今年、それを象徴する出来事があった。夏の横浜でのゲーム。判定を巡り、岡田が審判に抗議した。この抗議、あまり時間をかけると退場になる場合もあるし、岡田の怒りが沸点に達したら…と、平田は時間を計りながら、ほどよいところで、岡田と審判の間に割って入り、抗議を止めたのである。
わかり合う関係でなければ、こういう行動はとれない。このほどよい間柄をつくれるのが平田ならでは。彼は岡田の性格をわかっているから、邪魔にならない距離を取れるのだ。こういう人は平田しかいない。
かつて監督とヘッドコーチの理想の関係とされたのが星野仙一と島野育夫だった。島野は常に星野の陰で、なにかとフォローしてきた。決して出しゃばらない。余計なことをしない。だが、裏では星野の意をくんで、チームをまとめた。目立つ監督と、地味に映るヘッドコーチ。「島ちゃんがいたから、オレは監督を続けることができた」。星野の述懐を聞き、島野の力を改めて知ることになった。
平田は島野のように…と、手本にしてきた。そして、岡田と平田の関係は、来年も続く。「お疲れナマです」で、ビール会社からCMのオファーがあったことで、平田人気は沸騰しているが、その人柄が認められたこと、これはうれしいものである。【内匠宏幸】(敬称略)




