<みやざきフェニックス・リーグ:巨人0-4ソフトバンク>◇8日◇サンマリンスタジアム宮崎

日本ハムを皮切りに42年間、プロ野球界で生きてきた日刊スポーツ評論家・田村藤夫氏(61)が、8日のみやざきフェニックス・リーグの巨人-ソフトバンク(サンマリンサンマリンスタジアム宮崎)を取材した。ソフトバンクの昨年のドラフト1位、佐藤直樹外野手(22=報徳学園-JR西日本)の状況判断が光るバッティングと課題を解説する。

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これまでのファームリポートでは、イースタンを見てきたが、今回はフェニックス・リーグに足を運んだ。昨年まで中日の2軍バッテリーコーチを務めていたので、ウエスタンの若手の成長を見るのが非常に楽しみだ。その中で、選手層が厚いソフトバンクのドラフト1位、佐藤のプレーを初めて見た。

佐藤は「2番右翼」で先発出場。初回、無死二塁で迎えた第1打席は、巨人先発の昨年ドラフト2位、太田龍投手(22=れいめい-JR東日本)のストレートをセンターへタイムリー。その後、7年目の上林誠知外野手(25=仙台育英)の2ランで3点をリードした。

印象に残ったのは3回の第2打席。無死二塁でカウント1-0から2球目のストレートを右打ち。走者を進めるバッティングをみせた。1死三塁となって、その後の犠飛で試合を決める4点目が入った。

ここでベンチから進塁打のサインが出たかどうかは分からないが、ひとつ言えるのは仮にサインが出ていなかったとしたら、2番佐藤のチームバッティングに対する意識はかなり高いと言える。3-0とリードして迎えた3回で、1ヒットで4点目を奪えれば、チームにとっては非常に大きな1点になる。試合展開、無死二塁という状況をよく理解したバッティング内容だった。

みやざきフェニックス・リーグは教育リーグという位置付けだ。勝ち負けよりも、コーチ陣はバッティング内容に重点を置いて見ている。少し誇張して言うなら、フェニックス・リーグではバントのサインを出すことはあまりないと考えていい。バントをさせるよりも、その試合状況の中で、相手バッテリーの配球にどう対応するか、そこがポイントになる。

内容を重視するという観点から、第3打席の空振り三振には課題が見えた。先頭打者の佐藤はファウル、ボール、ファウルでカウント1-2と追い込まれてから、4球目のワンバウンドのフォークを空振り三振。追い込まれてからどうするか。そこから粘れるかを見ていたが、ボール球のフォークを空振り。あそこはしっかり見送って2-2の平行カウントに持ち込むか、もしくはカットしてしのぐ技術が求められた。

第4打席は2死走者なしの場面で、この試合で初めて引っ張って左飛。いい感じのスイングだったが、打球が上がり過ぎた。ここは4点リードの終盤という場面で、一発長打を狙ってもいい場面だった。

ソフトバンクで1軍の定位置を奪うのは、NPBの中では最も難しいと言える。ドラフト1位で入団して1年が過ぎた。今年の1軍出場はなかったが、今の佐藤は試合の流れを読む力を磨くことだ。相手バッテリーから、しぶとくて嫌がられるバッターを目指し、このフェニックス・リーグで内容を追い求めてほしい。

9日はソフトバンク-日本ハム(アイビー)をリポートする予定だ。(日刊スポーツ評論家)