<イースタンリーグ:ヤクルト5-1日本ハム>◇4日◇戸田
春先から気になっていたヤクルトの大卒ルーキー、沢井廉外野手(23=中京大)に注目した。
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4月、私はここ戸田球場で見た沢井のバッティングに強い印象を受けた。スイングが速い。それもただ速いのではなく、ちゃんと自分のポイントでボールをとらえていた。ヤクルトにはいい大卒ルーキーがいるなと、思っていた。
それからすぐに沢井は1軍に昇格した。5月中旬だったと思う。やっぱり、上がったか。どこまでやれるかなと思っていたが、3試合でファームに戻ってきた。1軍では3試合で3打数無安打。
5月下旬から再びファームの試合に出場するようになり、成績は気にしていた。そして、久しぶりに生でバッティングを見た。
やはり、スイングはいい。沢井の良さは変わらず、しっかりとバットを振っていた。早打ちが特長かもしれない。全4打席は、2球目、初球、初球、3球目だった。そして4打数4安打1本塁打。
私が注目したのは第2打席。第1打席は初球カーブがボール、2球目の真ん中真っすぐを打って右中間フェンス直撃の二塁打。第2打席は初球の内角真っすぐを右肘をたたみ、体の近くでボールを捉え、腰の回転で運び、一塁ベースを強いゴロで抜く二塁打。
スイングの速さ、力強さは言うまでもなく、あのコースをしっかりフェアゾーンに運ぶ技術もしっかりしている。わずかでも技術面で足りない部分があれば、あの内角真っすぐはファウルになる。
第1打席で真っすぐを打ち、第2打席も初球から積極的に真っすぐに狙いを絞っていたのだろう。積極性も良く、ミスショットなく仕留める確実性もいい。こうして解説していると、いいところばかりがどんどん出てくる。非常に楽しみな素材だ。
すぐにでも1軍への階段を駆け上がり、外野手争いに食い込んでもおかしくはない。バッターの基本は真っすぐを確実に仕留める技術にある。それを備えた沢井は1つの武器を手にしている。
バッティングが評価されてプロ入りする打者ならば、多くの選手は真っすぐを苦にしないと思われるファンの皆さんも多いと思う。
だが、意外に思われるかもしれないが、このところ私が感じていることがある。プロに入る選手に、速い真っすぐが打てないバッターが増えてきたことだ。
何もロッテ佐々木朗のような165キロが打てないというのではない。150キロ前後で回転数がある、いわゆるいい真っすぐにタイミングが合わない。
私も2軍でそうしたバッターを見て不思議に思っていた。ピッチャーの真っすぐが素晴らしいとも言えるのだが、やはりバッターの基本はいかに真っすぐをミスショットなく仕留めるかにある。
そうした観点から言えば、沢井のバッティングには大きな魅力を感じる。
スイングが速い、内角をしっかりヒットゾーンに運ぶ技術がある。そして長打力も備えている。まだ23歳。この強みを生かして、スケールの大きなバッターに成長してほしい。
今度は変化球への対応を是非見たい。沢井が真っすぐに強いという情報は、1軍ではどの球団も調査済みだろう。そうなると、ストライクゾーンでは真っすぐで勝負してこず、変化球で崩しにかかるだろう。
その時に、打者としての本当の意味での対応力が試される。そこでも、際どい変化球をカットして真っすぐを待つなどして、適応できるかどうか。
レフトの守備は、範囲がそれほど広くなく、足もずば抜けての俊足でもなかった。アベレージの守備力であれば、打力でアピールするしかない。そして、その可能性は十分にある。(日刊スポーツ評論家)





