<イースタンリーグ:日本ハム3-9楽天>◇9日◇鎌ケ谷

日本ハムの高卒2年目・畔柳亨丞(きょうすけ)投手(20=中京大中京)のボールをおよそ1カ月ぶりに見たが、真っすぐのレベルアップに目を見張った。

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2番手で登板した畔柳の真っすぐを見て、わずか1カ月でこれほどまでに変わるものかと感じた。

6月4日に見た時は最速149キロ。この日は153キロ。そして球速表示以上に、その真っすぐの力強さが際立っていた。

まず腕の振りがいい。思いっきり振っている。そして変化球と真っすぐでそのシャープな腕の振りに違いは感じられない。これは打者からすれば対応が難しくなる。

1軍レベルになると、どのピッチャーも腕の振りが鋭くなる。私のこれまでの印象ではソフトバンクの森唯斗がルーキーイヤーから見事な腕の振りをしていた。森は社会人出身。

畔柳は高卒2年目、20歳であることを考えると、ぐんと伸びるフェーズに入っている予感がした。

この日全16球のうち真っすぐは10球(フォーク5球、カーブ1球)。その10球のうち、前に飛ばされたボールは0。いかに打者に対して圧力がかかる真っすぐか、よく分かる。

腕の振りが良く、ベース板での強さが良く出ていた。こういう真っすぐがあると、キャッチャーは選択肢が増える。追い込んでから真っすぐも使えるし、真っすぐを見せてから変化球でも仕留めるイメージが膨らむ。

前回、畔柳と話をした時には「155キロは出したいです」と言っていた。それはもう現実味を増している。このまましっかりトレーニングを続け、出力を上げていけば155キロは単なる通過点になっていくだろう。

そんな期待を抱かせてくれる真っすぐだった。そして課題もよくわかった。フォークが落ちない。落ちないフォークは危ない。この日5球投げたフォークはすべて落ちずにベルトくらいの高さだった。

非常に危険なボールだ。球速は132キロ前後で、真っすぐとの球速差は20キロ近い。それが功を奏したのか、痛打されることはなかったが、それはただの結果論だ。落ちないフォークはいずれ打たれる。

まず、ストライクからボールに落ちるフォークをしっかり操れるようにしないと、力のある真っすぐがもったいない。

私はロッテ時代に伊良部(故人)とバッテリーを組んだことがある。伊良部の真っすぐは素晴らしかった。そして彼はスプリットを好んで投げていたが、それがあまり落ちなかった。

伊良部のスプリットは140キロは出ていた。真っすぐは150キロ台後半だったために、およそ15キロほどの球速差となり、落ちないスプリットに打者のタイミングが合ってしまい、打たれた記憶がある。

もう言うまでもないが、フォークは落ちてはじめて威力を持つ。それもストライクからボールに制球して、空振りも奪える決め球となる。

私の経験上、フォークを決め球としていたピッチャーは、その日のフォークの落ちが良くない時は、ほぼワンバウンドになるくらい低めに投げていた。

それは落ちずに高めに行ってしまうフォークは棒球となり、長打を浴びることを理解していて、そうならないようせめてワンバウンドになるくらい低めを意識していたからだ。

畔柳にとってフォーク習得は大きな課題になる。だが、あの真っすぐがあるなら、フォークを磨く努力は決して苦ではないはずだ。

ファウルや空振りが取れる真っすぐがあり、しっかり操れるフォークがあれば、どんどん勝負できる。畔柳のピッチングスタイルの骨格ができあがると言い換えることもできる。

成長過程に入ったピッチャーは、本当にちょっと見ない間にどんどん変化していく。その時こそ、自分のピッチングに何が必要か、課題はなにかをしっかり考えながら、試合に、練習に励んでほしい。(日刊スポーツ評論家)