プロ野球は東京五輪でペナントレースを休止している。練習やエキシビションマッチが行われているが、ほぼ四半世紀ぶりに夏の高校野球地方大会の取材に出向いた。快晴の中での決勝戦。普段取材するプロ野球とは違う高校球児たちの姿を間近に見ることができた。コロナ禍で取材方法などに違いはあった。それでも当時と大きく変わらない風景に違和感を覚えた。

優勝校と準優勝校がグラウンドで健闘をたたえられる閉会式だ。それぞれが自軍のベンチ前から行進して、マウンドの左右に整列。優勝旗、準優勝杯、賞状、メダルなどが授与され、主催者や関係者のあいさつが挟まれ、閉会が宣言される。

十数年の間に、高校野球は、球児の肉体への負担を考慮され、球数制限や大会日程の過密緩和が導入されている。ただ、閉会式には大きな変化を感じられなかった。春先や秋の大会ならまだしも、炎天下で2~3時間の試合、それも決勝を戦ってきたナインが20分近く立ったままだった。

別のジュニアアスリートの夏開催の競技に携わっていたとき、競技後の炎天下で開催された閉会式で何人かの選手が熱中症で倒れた。主催者らが話し合いを持ち、翌年から表彰は屋根の下か室内に変わった。

高校野球で行われる表彰式は、中学レベルの硬式、軟式野球、小学レベルの野球大会にも似たようなスタイルで継承されている。中学以下の大会は決勝戦1試合だけでなく、準決勝などを含め2試合を消化してからの閉会式も多い。雨が降れば、室内や屋根の下で行うケースも想定しているはず。炎天下の閉会式もスタイルを変える時期が来ているのではないだろうか。【中日担当 伊東大介】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)