高校野球の春のセンバツの出場校発表が27日にある。

プロ野球のキャンプインを前に、球春近しを感じさせる注目イベント。ただ、今年はその様子に少し変化がある。恒例になっている大会本部から学校長への電話連絡が行われないことが発表されたのだ。

「当事者」の反応はさまざまだった。甲子園初出場がかかる彦根総合(滋賀)は選出確実とは言えない状況でネット中継を見守る。宮崎裕也監督(61)は北大津でセンバツを経験している分、「電話なくなるんですよね。どんな感じになるんでしょう」と、そわそわに拍車がかかった様子。

電話に特別な思いがあるのは高田商(奈良)。DeNA三浦大輔監督の恩師でもある元監督の山下善啓校長(59)は校長として初の甲子園がかかる。「電話を受ける練習をしておこうかな」と楽しみにしていたというが、まさかの肩すかし。それでも当日は「校長室で」ライブ中継を見るという。グラウンドに移動して選手たちに自ら結果を伝達。「校長室で受けて、選手に直接伝える」形へのこだわりが見える。

龍谷大平安(京都)は学校とグラウンドが車で約30分と離れているが、校長がグラウンドまで赴き、そこでインターネットを見る予定だった。原田英彦監督(62)のアイデアだ。ただ、悪天候予報となったため、従来通り学校内での対応に変更。史上最多42度目のセンバツがかかる伝統校も「校長の口から伝える」部分は大事にしている。

センバツ発表は例年、平日の金曜日に設定される。発表の時間は午後3時30分前後。グラウンドに出発するかしないかの微妙なタイミングであることが多い。グラウンドが学校から離れている大阪桐蔭や履正社などはこれまで、出発を遅らせて学校でセンバツ発表を待っていた。今回も同様だが、違うのは関係者がパブリックビューイングのように同じ画面で吉報を共有することだ。

時代に合わせて変わりゆく高校野球。校長室への電話に変わるセンバツの名物シーンが誕生するかもしれない。【アマ野球担当=柏原誠】