「リュウの1回の盗塁阻止もよかった。こっちに流れを持ってこられた」。指揮官・矢野燿大は才木浩人と同時に梅野隆太郎を褒めた。2点を先制した直後の1回裏。若い才木は1番・吉川尚輝にいきなり安打を許す。さらに盗塁を狙ってきた吉川尚を梅野が得意のバズーカで刺した場面だ。
確かにあの盗塁企図が成功していたら、巨人打線に元気が出るし、流れは変わっていたかもしれない。巨人にすれば痛い盗塁失敗。もちろんそれだけではないが、このプレーはその後の一方的な展開に影響したかも…と考える。
そこで思うのは1回表の攻撃だ。先発シューメーカーから2点を先制し、なお2死一、二塁。続く7番・木浪聖也の1球目。ベンチは重盗を仕掛ける。しかし二走・佐藤輝明が三塁で刺され、攻撃が終わった。
結果論だが2回、先頭打者になった木浪は右前打。さらに梅野も左前打だ。シューメーカーの不調につけ込み、1回にあのまま普通に攻撃していたら5点ぐらいのビッグイニングになっていたかもと思う。だが、あの重盗を否定する気はない。まったく反対だ。あれでよかったと思う。
2年連続巨人戦勝ち越しを決めた前日の試合を思い出してほしい。阪神は2度、盗塁に失敗している。1回に島田海吏、8回には代走・植田海がそれぞれ二塁で刺された。従って、この日の1回で「3連続盗塁失敗」となったのだ。
だが、これで流れは巨人に行かなかった。これも結果論かもしれないが現状はそういうチームなのである。この日、中盤以降の攻撃でも実践したように失敗してもまた走り、相手に重圧をかけていく。何度も書いたけれど「オレたちの野球」が「超積極的野球」なのは間違いない。
8連敗中は動くに動けなかった。中野拓夢、近本光司と走れるメンバーを欠いていたからだ。大山悠輔不在もそうだがこれが一番、こたえていたと感じる。連敗を止めた18日ヤクルト戦は島田の盗塁から試合を動かした。常に成功とは限らないが自分たちのスタイルを貫くのは大事だと思う。
勝負に「たられば」はないがあの8連敗がせめて4勝4敗なら。今頃、貯金7でヤクルトの背中もチラリ見えていたのに。つい思ってしまう。しかし終わったことは仕方がない。次は大事なDeNA3連戦だ。足で仕掛ける姿勢は最後まで貫いてほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




