佐藤輝明とともに散ってもいいではないか。矢野阪神。そんな思いでいっぱいだ。この試合、佐藤明がスタメンを外れた。もちろん指揮官・矢野燿大が佐藤輝の不調を感じているからの決定である。虎番記者の調子を考慮したのか? という質問に矢野は「はい」とだけ答えた。
佐藤輝は今季、全試合スタメン出場した。それがここで出ないとは。勝負に徹している矢野の、これも「マジック」かもしれない。しかし代わりに出たマルテが打って、勝っていればこそだろう。選手起用は監督の専任事項だが、やはりモヤモヤしたものは残る。
この試合、はっきりしたのは両軍の「本塁打・長打力の差」だ。村上宗隆はすさまじかった。藤浪晋太郎から放った2ランはショッキングだ。技術的なことは書けないが、あの外角低めに投じたストレートは普通、本塁打されるような球ではないと思う。まさに3冠王の実力発揮だ。
長岡秀樹、オスナにも1発が出た。3-5の結果からすれば5回、西純矢が浴びたオスナの2ランが痛かったといえる。今季の本塁打数はヤクルトがリーグトップの174本。対して阪神は同5位の84本と実に半分以下だ。安打数では阪神11本に対し、ヤクルト7本と上回ったが、やはり本塁打の効果は大きかった。
だからこそ佐藤輝のスタメン落ちには気落ちしてしまった。本塁打という面では大山悠輔と2人してチームを代表する存在。そんな選手がこの土壇場に、スタメンで出てこないのは、やはり面白くない。
この4シーズンを通じ「選手をもり立てる」ということが矢野のポリシーだった。かつての名監督と呼ばれた人たちが、ときに厳しく、ときに非情に接して選手を育ててきたのとは違うスタンスだ。
「まだチームの命運を託すような、そんな立場の選手じゃないでしょ」。以前にこんな談話もあったように矢野は佐藤輝について、まだこれからという見方をしているようだ。プロ2年目。長所もあるが弱点もある。不調だから起用しないのと同時に、重圧をかけたくないという配慮かもしれない。だが佐藤輝ほどの潜在能力を持っている選手はいまの阪神にいないのも、また、事実だろう。
三振、三振、三振、そして三振、あるいは1発-。最後は佐藤輝のそんな打撃内容で散ってもいいではないか。矢野阪神よ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




