いよいよ本番モードだ。23日からは練習試合、オープン戦と指揮官・岡田彰布の戦いは本格化していく。それを前にこの日、キャンプ第5クール最終日は朝から室内練習場のシャッターを下ろし、サインの確認、その後もグラウンドでいろいろな走者を念頭に置いたケースノックが行われた。もちろん選手個々人はまだ競争の最中だが、チームとしては仕上げの時期に差しかかっているようだ。
15年ぶりにタテジマのユニホームにソデを通し、V奪還を目指す岡田。その戦いを前に、ある意味でキーマンになる存在に注目したい。監督付広報・藤原通だ。監督のそばに付き添い、メディアとの橋渡しは当然、チーム内での伝達役も務める。12球団にその存在はいるが、常に虎党、メディアの視線にさらされている阪神は激務だと推測する。
一般的な話だが、この役目は監督が代わらない間は同じ人物が務める場合が多い。前任・矢野燿大の4年間は現在も広報にいる二神一人が付き添っていた。
だが岡田の場合は前回の阪神監督5年間で5人がこの職に付いた経緯がある。オリックス監督時代も複数の監督広報がいた。事情はあるだろうが外側から見て、岡田の意思をくみ取り、円滑に仕事を進めていくことが簡単ではないことを示していると思う。
そして藤原だ。昨季までファームマネジャーだったが岡田の就任とともに現職についた。01年のドラフト6巡目で立命大から入団。当時の背番号は「2」、途中からバースの「44」を背負った。和製大砲として期待されたが残念ながら大きく花開くことはなく、職員となった。そして今回の“要職”である。
「みなさん、いろいろと言われますが監督はずっと穏やかな感じですよ」。藤原はそう笑う。古くから岡田を知るこの世界の大先輩からも「岡田は丸くなった」という話は聞く。だが、言うまでもなく公式戦はまだ1試合も戦っていない。
「実戦をやった後は、やはり、ピリピリした感じを受けますね。監督の考えておられることを周囲がどれだけ受け取って、実行できるか。そこが大事でしょうね」。藤原もそう話す。
相手はもちろん、ファンともメディアとも戦う。誰もがそのハードさを知る阪神の監督。実際に経験しながらも再びその座についた岡田の戦い。横で支える藤原の存在は大きな意味を持つはずだ。(敬称略)




