「これはタイヘンよ」。指揮官・岡田彰布ならそう言ってほしかったが、実際の感想は「すごいなあ」。想像を超えると表現もシンプルになるのか。表現はとにかく、とてつもない投手が阪神に出現したのは間違いない。村上頌樹だ。

好投で2勝目をマークした若虎の話は虎番記者の記事でじっくり読んでいただくとして、この試合、おもしろいなと思ったことがある。大げさに表現すれば「オール兵庫」現象だ。

村上が投げれば同じ淡路島出身の近本光司が打つのは前回と同じ。決勝打の22日中日戦(バンテリンドーム)に続き、この日は適時打を始め、3安打猛打賞で貢献。そして兵庫出身の右腕を援護したのは近本だけではない。

派手だったのは佐藤輝明だ。5回に2号ソロを放つと8回には「これぞテル!」とも言うべき弾丸ライナーの3号2ランを右翼席にたたき込んだ。9回にも内野ゴロでダメ押し7点目をマーク。自身今季最多の4打点である。

佐藤輝は阪神のお膝元、兵庫・西宮市の出身だ。村上とは20年のドラフト同期。同学年、同期を援護した佐藤輝は今季ここまで不調の中、村上が先発すると不思議に打つ。

巨人を7回完全に抑えた12日巨人戦(東京ドーム)は1安打、22日中日戦(バンテリンドーム)でも二塁打を放っている。ちなみに先発ではなかったが村上が2回を投げた3月25日、対オリックスのオープン戦(京セラドーム大阪)でも本塁打を放っている。

そして、この試合、近本の他にもう1人、猛打賞を記録した選手がいた。村上をリードした坂本誠志郎だ。3安打のうち2度までホームを踏み、勝利に貢献した坂本。履正社-明大の経歴だが出身は兵庫・養父市である。

阪神で兵庫勢が活躍したからどうしたんだと言われればそれまでだが、なかなかうまくいかないのがこの世界だ。広島出身の中田翔が巨人に来て初めてのサヨナラ弾をカープから放つなど皮肉ではないか。

くどくどとは書かないけれども特に阪神はそうだ。兵庫、大阪と日本屈指の野球どころを本拠にしながら、地元出身の好選手をうまく獲得してこれなかった経緯がある。だからこそ現在の状況を好ましいと感じるのだ。30日の先発投手も神戸出身・才木浩人。ヤクルト戦3連勝へ向け、踏ん張ってもらいたい。(敬称略)(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)