岡田阪神、なかなかエエなあ-と思った7回だ。6点差を6回に追いつき、勢いに乗る打線。だが7回は2者が倒れた。その後、7番・梅野隆太郎が四球を選ぶ。続く木浪聖也の5球目に盗塁を狙ったが刺され、チェンジとなった。

梅野は、いま虎党から“ある意味”で注目される存在になっているかもしれない。極度の打撃不振に陥っていることもそうだが、常について回るのは「先発マスクで試合に勝てない」という状況だろう。

先発投手の不調もあり、この試合前まで梅野がスタメンだと6連敗。併用されている坂本誠志郎が先発マスクだと7連勝と大きな差がついている。梅野のスタメンで勝ったのは4月18日の広島戦(甲子園)が最後だった。

その梅野が四球でこの日初出塁した7回だ。ここで指揮官・岡田彰布は初球から「走れ!」のサインを出していた。だが梅野はすぐにスタートを切れず、5球目に走ったというのだ。

「あいつ、久しぶりに塁へ出たから焦ってたんかな-。最初から『いけ、いけ』言うてんのに。動かしていかんとな。アウトになっても次、木浪からやし」。その内幕を他ならぬ岡田自身が笑いながら明かした。

いいと感じるのはそうやって不振の選手を動かしていく岡田の姿勢だ。いまの岡田は常に選手をいい状況でプレーさせようと頭を使う指揮官になっている。

「選手に寄り添う」という意味では前任の矢野燿大も同じ。だが思考法、考え方を強調した矢野に比べ、岡田は具体的に試合、動きの中で選手をラクにさせてやろうと知恵を絞っているように見える。

一部の虎党には「梅野か、坂本か」という議論があるようだ。ファンが何を言ってもそれは勝手だがチームにとって2人とも戦力になることが大事なのは言うまでもない。現状、ほとんど唯一と言っていい“弱点”になっている梅野の復調は絶対に必要なのだ。

だからこそ岡田もじっくり考えている。7回、そしてラスト9回に梅野が選んだ2つの四球についても「何かの形でチームに貢献する、ああいう四球は大きい」と評価した。

ようやく「連敗」が止まったとはいえ、この日も無安打だった梅野の気持ちはスッキリしていないだろう。明るい男が苦しむ状況はまだ続く。それでもその笑顔がはじけるとき阪神はさらに上向きになるはずだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)