あかんぞ。あかん。これは。こらホンマに“アレ”してまうやないか。あかんて。うれしいような、戸惑うような虎党おなじみの、あの感覚。シーズンに1度は来るあの感じがまた頭をもたげる快勝だ。
投げては新加入・大竹耕太郎が立ち上がりのピンチをしのぐと7回までスイスイ投げ、広島打線を0封。打っては1回に主砲・大山悠輔が先制3号2ランを放つと3回には復調してきた佐藤輝明が4号2ランで中押し。極め付きは昇格したばかりのミエセスが6回に1号ソロを放った。
借金があるとはいえ単独3位につけていた広島を敵地マツダスタジアムでまったく寄せつけない勝利だ。この日サヨナラ負けを喫した首位DeNAにジリッと迫り、今季最多の「貯金5」だ。5月5日に貯金5、その5点目は背番号55の本塁打でゾロ目も楽しい。
だが、こんな試合だからこそ気になる部分はあった。阪神の三振数である。9回、阪神40人目の打者となった大山が喫した空振り三振がこの日、チーム13三振目。これは今季28試合目で最多、ワーストだ。これまでは15-0で圧勝した4月27日巨人戦(甲子園)での「12三振」が最多だったが、それを上回った。
「三振が多いからどうなんや」と思うかもしれないが、やはり、よくない。粘り強く出塁し、1点を大事にするのが指揮官・岡田彰布が目指すスタイル。序盤に本塁打が出て、先発投手も好調な楽勝ペースになれば打者は四球を選ぶより、打ちたくなる。だから…ではないかもしれないが7回から登板した広島4番手・大道温貴には2イニングで5三振を喫した。
いつもこんな勝ち方ができるわけではない。というより、めったにできないと言う方が正解だろう。3本塁打が出ての圧勝で自分たちの形を見失うことがこわいと感じる。
岡田もその辺りは危険視しているはずだ。2ランを放った佐藤輝のその後の2打席について、こう警鐘を鳴らした。「あとの打席、大事に打たなあかんわ。はっきり言って。ああいうのでな、崩れる可能性があるからな。ボール球とか振りだしたら。大事にいかなあかんわな」。
佐藤輝を評したセリフだが打線全体にも当てはまることだと思う。大昔から言われるが「油断大敵」「勝ってかぶとの緒を締めよ」である。「こどもの日」でもあったし。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




