60歳も超えれば健康に不安が出るのが一般的でしょうか。こちらも同じ。昨夏に還暦を迎え、なんだか体調が気になる。気持ちは若い頃と同じつもりですが中身は…。同年代の友人とそう笑い合います。開幕を前に健康診断を受けながら、病院に来ることも多くなったかな、と思ったり。

そこで阪神岡田彰布監督です。なにしろ「風邪一つ引いたことないわ」が口癖。その割にはよくセキをしていますが「タバコやろ。これは」。吸わないこちらからすればやめればいいのに…と思うのですが、なかなか難しいのでしょう。

そんな「健康自慢」の岡田監督がキャンプ前後、少しドキッとするようなことを虎番キャップたちに話していたことがありました。こんなことです。

「検査したら、おまえ、ちょっと膵臓(すいぞう)に影があったんや-」

話を要約すれば健康診断でMRI検査などを受けたところ、そういう指摘を受けたそう。内臓に影…と聞くと、正直、いろいろ想像をしてしまいます。

結果から言えば、その後に再び受けた精密検査の結果は何も問題はなく、不安は払拭されたそう。「再検査で貴重なオフの時間を取られたやんか」と苦笑していたそうですが、なによりと言うほかありません。

なにしろ12球団トップの人気を誇る阪神を38年ぶり日本一に導いた人物です。検査も徹底して行われた様子。今更言うまでもありませんが阪神の監督というのは、ファン、そしてメディアからの注目度が抜きんでて高く、それだけプレッシャーもかかる立場です。

「昨年は老体にムチ打ってやったので。影響が出ないか心配していましたが、とりあえず元気に新しいシーズンを迎えることができましたね」。そう胸をなで下ろすのは陽子夫人です。

長いシーズン。そして「これというポイントはなかったなあ」と振り返るほど順調に日本一まで上り詰めた1年でもありました。岡田監督自身「出来過ぎよ」と口にしていたほど。

しかし今年の開幕前、オープン戦は昨季と選手の顔ぶれは変わらないのに最下位という結果に終わっています。しかし監督も言うように、それは関係ない。球団史上初のセ・リーグ連覇へ向け、勝負はこれからです。まずは「伝統の一戦」で幕開け。球界最年長・66歳の猛虎指揮官は健康な体で新たなシーズンに臨みます。

「開幕特別バージョン」で記した当欄、今シーズンもよろしくお願いします。【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)