中日、なんで、そんなに頑張るんや-。おかしな言い方だが虎党の中にはそんな風に感じた人もいるのではないか。ヤクルトと最下位を争う状況で、すでに優勝の目はほとんどないドラゴンズ。対して上位の阪神は少ないながら連覇の可能性は残っている。そんな対戦でなぜこんな展開に…という思いだ。

もちろん答えはハッキリしている。プロだからだ。ファンがいる限り、おかしな試合はできない。特にこのカード、バンテリンドームは満員御礼。そんな中で阪神にひと泡吹かせてやろう。敵将・立浪和義以下、選手たちのそんな思いが伝わってくるような延長12回ドローの死闘だった。

独断で言えば、春先から恐れていたのはこういう状況だ。昨年、日本一に輝いた阪神。そして今季を前に指揮官・岡田彰布は「連覇を狙う」と公言した。そうはさせるか…。セ・リーグ5球団はもちろん11球団がそういう思いで向かってくる。それをはね返せるか。そういう戦いが今季だった。

同じような思いは広島監督として3連覇をはたした緒方孝市(日刊スポーツ評論家)も感じていた。半年前の2月。宜野座キャンプで岡田に対談取材を行ったときのことだ。緒方は岡田にこう言った。

「カープも含めてセ・リーグ5球団は“打倒阪神”。これが今季の合言葉でしょう?」。これに対して岡田はこういう返しをしていた。「そうか。オレは巨人だと思うよ、今年は。今年は巨人よ。2年連続Bクラスというのはね。フロントも全部、相当、意識は強なってると思うよ」。伝統、実績を誇る球団の巻き返しに注意することだった。

その見立ては一部当たっている。だが、やはり、巨人以外も阪神戦になれば目の色を変えてくる。この中日戦など、もろにそういう感じではないか。

「何か、もう、いっぱいありすぎて答えようがないわ」。虎番キャップたちにそう漏らしたのは岡田の本音だろう。村上頌樹の乱調から始まった試合は、前日「つないでいかなあかん」と指摘された佐藤輝明ら主軸打者が懸命につないだ。四球も絡め、勝ち越し。「勝利の方程式」で勝てるはずだったところをクローザーで追いつかれたのだ。

ハッキリしたのは勝負は最後まで分からないというかもしれない。その意味でも、まだ阪神の戦いに注目していかなければと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)