東北のトップを切って、第97回全国高校野球選手権福島大会(7月9日開幕)の組み合わせ抽選会が18日、郡山市内で行われた。過去2年、決勝で聖光学院に延長サヨナラ負けしている日大東北は、初戦で昨年と同じいわき総合と対戦することになった。戦後最長の9年連続夏出場を狙う聖光学院に対し、「三度目の正直」で、03年夏以来、12年ぶりの聖地を目指す。

 「ドキドキしました」。日大東北・落合滉樹主将(3年)は決定したやぐらを見て表情を引き締めた。「1つ1つ勝っていきたい」。あの決勝から1年。借りを返す夏がやってきた。

 誰もがあの試合を脳裏に焼き付けている。6-2とリードして迎えた9回裏の守備。1死一、二塁で聖光学院の2番藤原を二ゴロに打ち取り、併殺でゲームセットかと思われた。日大東北ベンチから何人かが既に飛び出していた。だが藤原が必死に一塁に飛び込み、併殺崩れに。その後、3連続安打で4点差を追いつかれた。延長10回は両軍無得点。11回裏、無死一、二塁から適時打を打たれサヨナラ負けした。前年に続き、甲子園切符があと1歩で逃げていった。

 それぞれがあの試合を教訓にする。その時左翼を守っていたエース岩城光(3年)は「正直勝ったと思った」。油断した心を反省した。「最後の1球まで気を抜かないで投げる」。昨年のエース大和田啓亮(現日大)からはグラブを託された。元PL学園監督で甲子園通算勝利58勝の中村順司氏を父に持つ中村猛安監督(36)は就任5年目。「先輩たちが財産を残してくれた。なんとか甲子園に行かせてあげたい」と話す。

 1週間前には県中大会の後、試合が行われた白沢球場から学校までの約20キロを3時間かけて走り抜いた。落合主将は「これだけやったという自信がある。絶対悔いを残さない」。ナインは昨年の動画を何度も見返す。1つのアウト、1球の重みを再びかみしめ、夏を迎える。【高場泉穂】