岐阜には両投げ投手がいる。高校野球特集の第3回は「異色球児編」。麗沢瑞浪(れいたくみずなみ)の赤塚瑞樹投手(3年)。最速は右が141キロ、左が130キロの“本格派”で、投打にわたるチームの主力。同校は優勝を狙う有力校でもあり、悲願の初甲子園で投球を披露することを夢見る。

 赤塚は元来、右投げ。小学2年時に父からすすめられ、両投げを始めた。だから今も得意は「右」で、最速141キロを誇る本格派だ。だが「左」も今では重要な武器になっている。

 「右打者の時でも左でクロスファイアを投げて打ち取ります。走者がいる時は左で投げる時があります。自分の個性を生かせると思うので」

 たとえば走者一塁なら「左」の方が走者をくぎ付けにできる。打者や状況を見て右左を自らチョイス。投球のレベルは高く、梅田恭明監督(38)は「頭のいい子で勉強もできる。僕の考える戦術を理解できる。先発もあるかもしれないです。いつでも送り出せる投手です」と2番手投手として計算している。

 左のレベルを上げるため左手で箸を持ち、字を書く練習を重ね、今ではそちらも二刀流。また、5番を務めるバットでも両打ちの主軸打者。「打撃で貢献したい。投げる機会があると思うので自分の長所を生かして勝ちに貢献したい。目標は甲子園です」。152キロ右腕、高橋純平投手(3年)を擁する県岐阜商がいる岐阜大会だが、麗沢瑞浪は今春8強のシード校。赤塚の、文字通り双肩にかかる期待は大きい。

 ◆赤塚瑞樹(あかつか・みずき)1997年(平9)11月26日生まれ、岐阜市出身。小学1年から野球を始め、岐阜大付中ではドリームス岐阜北ボーイズに所属。昨夏は外野のレギュラーで出場、登板もした。変化球は左右ともカーブ、スライダー、チェンジアップ。175センチ、70キロ。両投げ両打ち。

 ◆両投げ投手 今年6月、大リーグに20年ぶりの両投げ投手が登場。アスレチックスのパット・ベンディット(30)がメジャー昇格し、レッドソックス戦でデビューした。2回を1安打無失点と好投。本来は右利き。3歳の時に左でも投げ始めたという。日本のプロ野球で、1軍登板したのは88年に南海入団した近田豊年だけ。同年4月14日ロッテ戦に登板し、1回1安打1失点。下手投げの右でも投げられたが、利き腕の左だけで投球した。1軍登板はこの1試合だけだった。