箕島が逆転勝ちで初戦を突破した。

 1点差に迫られてからが、今夏の箕島の本領発揮だった。先発した左腕の中村光投手(2年)が6回表に3点目を許して以後、一塁側の箕島応援席はひやひやムードになった。しかし、案外涼しい顔だったのは、マウンド上の中村だ。7回表1死三塁のピンチに、3番・上平敦紀(3年)をスライダーで浅い右飛に、4番・道浦健介(3年)はカーブで二塁ゴロに仕留めた。「今日はあの場面が一番の投球でした」と背番号1は納得顔だった。

 9回は予定通りにリリーフ右腕の福居蓮矢(2年)が締めたが、先頭打者に右安打を許してしまった。しかし、八木貴也主将(3年)はこれも「福居はよくああいうヒットを打たれ、気合が入って抑えます」と心配を吹き飛ばした。

 昨年秋は和歌山大会で優勝も、近畿大会準々決勝の奈良大付戦で、2人の継投がはまらず逆転サヨナラ負け。8強入りで今年選抜出場の有力校に挙がったものの、甲子園に行ったのは、21世紀枠の桐蔭だった。

 そこから箕島に反発力が増加した。この日の初戦の相手はシード校の紀北工。ノーシードの箕島は、尾藤強監督(45)が「初戦が気合の入る相手で、ありがたいと思っていた」と言うほど、内面の迫力を取り戻した。監督就任1年目の13年夏に続く、マンモスの舞台へ「15年型箕島」が動きだした。【宇佐見英治】