シード校・久慈のエース右腕谷崎周史(ちかし=3年)が、絶妙な間合いを取ってチームを8強に導いた。6回から3番手で登板。8回に2点を許して3点差に迫られ、なおも2死満塁のピンチを招いた。ここで滑り止めのロジンバッグの交換を球審に求め、次打者を二ゴロに仕留めた。

 「交換はロジンの粉が出なくなったので。ただチームのためにも1回、間を取ろうと思って」。その判断が盛岡商の反撃ムードを断った。9回も2死満塁をしのいだ。ロジンバッグを握った右手が白くなるほど、冷静になった。佐々木雄洋監督(34)は「よく踏ん張ってくれた」と目を細めた。

 久慈中3年時に軟式の県大会を45年ぶりに制覇し、東北王者になって全国大会に出場。当時のチームメートが3人いる。「中学の雰囲気と似ているところがある。負けていても逆転できるチーム」と話す。久慈が79年以来遠ざかる甲子園へ、着実に階段を上っている。