連覇を狙う武修館が、背番号1の力投で釧路工を返り討ちだ。先発した左腕、徳橋颯野投手(3年)が4回までを1安打無失点に抑えると2番手の左腕、山崎にマウンドを譲り右翼の守備へ。6点リードの8回に再び「3番手」として登板すると3者凡退に仕留め、合わせて5回を0封した。昨年決勝と同カードを再び制し、「向こうも必死に勝ちを取りに来ていたので、気持ちで負けないように投げた」と相手に雪辱させなかった。

 「一人二役」の大奮闘だ。昨年も地区予選から徳橋、山崎を中心とした4投手の継投策で頂点まで上り詰めたが、今年は2人に続く投手陣に多少力差がある。そこで徳橋が2度登板することでまるで3投手が登板しているような効果を狙っている。練習試合でも試しており、「いつでもまた行く心の準備はしていた」。2度目の登板では2連続三振を奪って力投した。

 2年生ながら背番号1を託された昨夏。甲子園では初戦の八戸学院光星(青森)戦で、1点リードの7回から3番手として登板。8回に連続安打を浴びるなど4点を失った。敗れた悔しさは忘れない。本番の今夏へ、常に走者を背負った場面を頭の中で想定して投げ込み、失点しない投球を目指してきた。この日、1回先頭打者に三塁打を許すなど無死一、三塁のピンチも「落ち着いて投げられた」。相手4番打者にはスライダーで三振を狙って奪い、先制を阻止。自らの成長を証明した。

 準々決勝は岩見沢緑陵と対戦する。1年前、持ち帰った聖地の土は少しだけ小瓶に入れて自室に飾り、眺めているが「少ししか土が残っていないので、また取りに行きたい」。2年連続の優勝へ、左腕が最後の夏に躍動する。【保坂果那】

 ◆北大会の連覇 3校が達成している。直近では駒大岩見沢が南・北空知地区統合により北北海道に編入した直後の07、08年に2年連続で優勝。最多は旭川龍谷の3連覇(73~75年)。ほかには76、77年に釧路江南が達成している。