【2015白球メモリー:米沢中央・平純也投手(3年)】

 父との約束だけは、最後まで守り抜いた。父浩行さん(50)は米沢商のエースとして春4強が最高成績。小1で野球を始めた平が投手になった時、「投手たるもの、感情を表に出すな。ポーカーフェースを貫きなさい」と教わった。この日、120キロ台前半の直球と90キロ台のカーブでコーナーを突いた。先制されてもひるまなかった。8回まで5安打7奪三振3失点。ピンチの場面でも黙々と投げ続けた。

 2点リードで迎えた9回。先頭から2安打を浴びて降板した。「9回だけ投げ急いでしまった。最後まで投げるつもりだった」。それでも、マウンドを降りるときも表情は崩さなかった。後続が打たれ5点を失い逆転負け。あこがれの甲子園にはあと1歩、届かなかった。「父の言葉は毎回、意識していました。小1から両親にずっとサポートしてもらってきた」。感謝の言葉を口にした時、すでに涙は乾いていた。【高橋洋平】