三沢商が青森を破り、29年ぶりの決勝進出。5回まで0-5の劣勢を猛打で逆転した。

 応援席から悲鳴のような歓声が起こった。8回裏5-6に詰め寄り、なおも1死一塁。2年生の4番森田亮が左翼席にホームラン。ついに逆転だ。終盤7~9回になんと13安打で9点。猛打で試合をひっくり返した。9回青森の猛追も1点差で逃げ切り、試合終了。ナインが抱き合い、喜びを爆発させた。

 「選手たちはすごい!」。開口一番、浪岡健吾監督(46)は大きな声でナインをたたえた。これまでも苦しい試合が多かった。「まず1点を取ろう。取れば流れが変わる」と中盤、ナインに言い聞かせた。6回、二塁走者の代走に市ノ渡太一(3年)を起用。シングルでホームインし、7、8回にタイムリーを放った。采配がズバリ当たった。

 森田は「これまで打てなかったのに4番で使ってくれた。監督さんの期待に応えたかった」とにっこり。中学3年の冬に右足首を捻挫。回復が長引き、昨年は低迷していた。今年も「ヘッドの返しが早く、打球にドライブがかかる状態」で不調。「監督さんから『前でとらえろ』と言われ、よくなってきた」という。

 昨年初戦で敗れた(5-7)青森に雪辱。浪岡監督が5番中堅手で甲子園に出場した86年夏以来の決勝進出だ。浪岡監督は「私たちが甲子園に出た時は守りのチーム。今のチームは守りに加え打力もある。打線のピークがどんぴしゃ、夏に当たった」と笑顔。三沢商旋風の勢いが止まらない。【北村宏平】