札幌第一(北海道)が関東第一(東京)を撃破した。12安打と相手投手陣を攻略し、初陣で初勝利をマークした。9番の兼村京佑右翼手(2年)が4安打2打点で3得点。元横浜部長・小倉清一郎氏(71)から伝授された“外角打ち”が生きた。明日15日の準々決勝で、4強入りを懸け、四国代表の高松商(香川)と対戦する。

 9番に座る伏兵が、右へ、左へ、強い打球をかっ飛ばした。2回2死一、三塁、札幌第一の先制機。ボールが3つ続いた後、打席の兼村は、迷わず外角の137キロに手を出した。「ノースリーから真っすぐに(読みを)張って、バットを思い切り振った。チームで、外角を重点的に振って行こうと決めていたので」。逆らわない打撃で、打球は左中間を真っ二つ。走者一掃の先制適時二塁打で、流れをぐっと引き寄せた。

 2打席目以降も安打を重ね、すべて得点に絡む4長短打。今秋の北海道大会では背番号12で控えに甘んじ、わずか5打席のみの出場だっただけに「モヤモヤしたものがあった。なかなか試合に出られず悔しかった」。鬱憤(うっぷん)を、全国舞台で見事に晴らした。

 短期間の集中特訓が、実った。チームは8日に関東入り。神奈川県内での練習には、元横浜部長の小倉氏が同行し、練習を積んできた。力を入れたのは、外角低めの球を、いかに逆らわずに打ち返すか。打撃マシンを外角に設定し、振り込んだ。この日、チームが放った12安打のうち、10安打が兼村ら左打者。ネット裏最前列で見守った小倉氏は「左打者が逆方向へ打てるようになっていたね」と、ご満悦だった。

 菊池雄人監督(43)は「全国の相手とやることは、財産」という。怪物・清宮幸太郎(1年)のいる早実、プロ注目左腕の大江竜聖(2年)擁する二松学舎大付など、強豪ひしめく東京大会を制した難敵を退け、準々決勝へ。「自分たちの野球をすれば通用するんだと自信になった」と、兼村の声が弾んだ。【中島宙恵】