埼玉大会開幕戦で進学校の開智が常識外れの継投で大宮光陵に10-1で快勝した。先発した背番号1の福島一棋投手(3年)が6回を1失点に抑えると7回からは背番号2を付けそれまでマスクをかぶっていた市川翔太捕手(3年)がマウンドへ。背番号1の福島は捕手に入った。市川は3回を無失点の好投で試合を締めくくった。バッテリーがそっくり入れ替わる「開智版勝利の方程式」で2年前と同じ開幕戦を制した。

 スタンドが思わずざわめいた。7回裏、守備に就く開智のシート変更がアナウンスされた時だった。

 「ピッチャー、福島君に代わりまして市川君。福島君はキャッチャーに入ります」

 捕手が登板することは98年夏の甲子園に埼玉から出場した滑川(現滑川総合)の久保田智之(阪神では投手で活躍)らの例があるが、バッテリーがそっくり入れ替わるのは珍しい。捕手はケガの多いポジションということを考えれば常識外れの「継投」と言っていい。

 6回を1失点に抑えた福島は疲れも見せずマスクをかぶるとマウンドに上がった市川にサインを送る。市川は先頭打者を投直に仕留めるとテンポの良い投球で3者凡退。3回を2安打無失点に抑えた。