南北海道大会で、昨夏の甲子園準優勝、北海が、初戦で北照を11-4の8回コールドで下した。2点を追う5回1死、3番川村友斗一塁手(3年)が地区予選から3試合連続となる右越えソロを放つと、長短5連打で6点を奪い突き放した。昨年と同じ南大会初戦の口火弾で、全国最多38度目の甲子園出場へ好発進した。

 北海の“飛ばし屋”川村が1発で流れを変えた。1-3の5回1死、北照エース佐藤脩のカーブを、軽々と右翼スタンドまで運んだ。「自分が塁に出て流れを来るようにしたかった。最高の形になった」。この一撃を皮切りに四球を挟み5長短打で畳みかけ、一気に6点を奪って突き放した。札幌地区2回戦から3戦連続4本目。平川敦監督(46)は「川村の本塁打がチームを勢いづけてくれた」と最敬礼した。

 川村弾が3年連続甲子園への号砲になる。昨年も同じ7月18日、初戦の苫小牧中央戦の初回に、公式戦1号となるバックスクリーン弾を放った。3季ぶりの道大会1勝を呼び込むと、その勢いで、全国準Vまで駆け上がった。験の良い初弾記念日に“2年連発”。「去年の初戦は何とか先輩の役に立ちたいと無我夢中だった。今年は自分が引っ張るという気持ちで打った」と、今夏は大人のメンタルで聖地を手繰り寄せる。

 昨年から18日の「1発デー」が川村のバージョンアップ日となってきた。昨夏8月18日は、甲子園で道勢初の2戦連発を記録し88年ぶり4強に導いた。「甲子園では来たボールを思い切って振っていた。今は状況やボールを見てタイミングを合わせて飛ばせるようになった」。この日の公式戦7号は、体が泳ぎながらも、変化球をバットに乗せスタンドに運んだ。気持ちに余裕が芽生え、パワー頼みではなく、芯をとらえる器用さを出せるようになってきた。

 仲間の信頼も増している。エースの多間は「去年よりも体が大きく見えるし、オーラが見えるようになってきた」。181センチ、83キロの恵まれた体にテクニックと経験を積み重ねた長距離砲が、3年連続夏切符を引き寄せる。【永野高輔】

 ◆川村友斗(かわむら・ゆうと)1999年(平11)8月13日、松前町生まれ。松前松城小2年で野球を始めた。北海では1年秋の札幌地区予選に背番号14でベンチ入りし、昨夏の甲子園は6番一塁手で出場。3回戦の日南学園戦で甲子園初本塁打、準々決勝の聖光学院戦で道勢初の2戦連続本塁打を放った。181センチ、83キロ。右投げ、左打ち。家族は両親と弟。

 ◆北海の昨夏 南大会は1回戦11-2苫小牧中央、準々決勝4-2北照、準決勝8-1東海大札幌、決勝7-2札幌日大で2連覇。37度目の夏甲子園は初戦の2回戦2-1松山聖陵(愛媛)3回戦4-1日南学園(宮崎)準々決勝7-3聖光学院(福島)準決勝4-3秀岳館(熊本)で夏決勝初進出。作新学院(栃木)に1-7で初優勝を逃した。