投球以外にも存在感を発揮した。1点を追う9回1死。「ベンチの中には負けを覚悟したやつもいたと思う。自分が打って火をつけたかった」と、この日3安打目となる右前打で出塁。続く2番の初球暴投で、相手捕手の処理が緩慢と判断すると一気に三進。「仙台市民のファウルグラウンドが深いのは知っていた。隙があれば、行こうと思っていた」。その後3球目のスクイズで同点に追い付き、自らの登板につなげた。

 負けられない理由があった。昨年の夏準々決勝での敗戦を始め、就任8年目の平塚監督は公立強豪の利府に夏4連敗していた。投手に抜てきした熊谷諒の活躍に同監督は「気持ちが強い選手。チームを鼓舞してくれた」とたたえた。背番号6も胸を張った。「悔しさをバネにして、今までの先輩の分、先生(監督)の分も勝ちたかった」。柴田に現れた二刀流右腕が、チームに新しい力をもたらした。【高橋洋平】