<君の夏は。>

 桐光学園(神奈川)逢阪倫充(おおさか・のりあつ)内野手(3年)は試合後、悔し涙が止まらなかった。3打数無安打、送りバント失敗など本来のプレーができない。8回の打席で代打を送られベンチに下がった。チームは6-10で敗戦。1年夏からベンチ入りした逢阪は3年連続で準決勝で横浜の前に敗れた。

 「悔しい。自分のミスでチームの足を引っ張ってしまった。平常心でできなかった。みんなに申し訳ない。今後の野球人生、同じ失敗を2度としないようにしたい」。こう話すと再び、しゃくり上げた。

 中学1年の夏、早実・清宮らとともに北砂リーグ(東京)でリトルリーグの世界一に輝いた。「1番遊撃」で大活躍。5試合で19打数10安打、4本塁打、11打点、打率5割2分6厘。本塁打は清宮の3本を上回った。その後も清宮と同じ調布シニアでプレーした。

 清宮の早実とは大会前の練習試合で対戦。「刺激をもらった」という。清宮はこの日通算107本目の本塁打を放ち決勝進出を決めた。「清宮と甲子園で戦いたかった。この夏の甲子園は悔しくて見られるかどうか分かりません」。

 今後は大学に進学して野球を続ける。「(リトル時代は)指導者におんぶに抱っこ。高校に入って自分たちで考える野球ができるようになった。でもこのままでは通用しない。大学で多くのことを学びたい」。世界一に沸いたあの夏から5年。17歳の少年は、涙ながらに再び前を向くことを誓った。【福田豊】