第99回全国高校野球選手権の開会式のリハーサルが6日、甲子園で行われた。直後の練習で東海大菅生(西東京)は、中日で投手だった若林弘泰監督(51)が打撃投手で登板。選手に元プロの生きたボールを打ち込ませ、気合を注入した。今日7日に開催予定だった開会式と 大会第1日は台風5号の影響で中止、8日に順延が決まった。

 西宮市内で行われた練習も後半にさしかかった頃、若林監督がマウンドに上がると、グラウンドの空気が一変した。小玉佳吾主将(3年)は、「入学以来、初めて見ました」と驚きの表情。1球1球に緊張が走る。約15分だったが、10人の選手に10球ずつで約100球。練習終了後、若林監督は「久しぶりに投げたね。まだこれくらいは投げられるよ。(コントロールがいいから)僕の球は打ちやすいと思うよ」と、汗をぬぐって笑った。

 中日投手だった若林監督は当時から制球力は抜群。けがの影響もあり、6年の現役生活で1軍には17試合に出場し1勝1敗。引退から20年たったものの、力は衰えていなかった。打席に立った小玉主将は、「コントロールが良かったです。いつもより集中できました。緊張感があって、調子も戻ってきました」と感謝した。

 日頃、若林監督は「プロは一日中練習をしている。高校生は練習時間が短いから質の高い練習をしないとダメだ」と選手たちに指導してきた。短い時間での集中。大会直前の練習で自ら実践してみせた。初戦は大会第7日、高岡商と。監督の魂のこもった球で打力アップを図った選手たちは、一戦必勝、頂点を目指す。【保坂淑子】