秋季高校野球東北大会準決勝が今日17日に福島で行われる。5年ぶり5度目のセンバツ出場を狙う聖光学院(福島1位)は16日、桑折町内の自校グラウンドで2時間ほど軽く汗を流した。対戦する能代松陽(秋田1位)は最速140キロを誇る165センチのエース左腕佐藤開陸(かいり、2年)を擁する。昨年11月の1年生同士の交流戦では完投で抑えられ、3-4で敗れた。その試合で本塁打を打った大松将吾捕手(2年)が雪辱のキーマンとなる。

 大松はブルペンで捕球しながら、難敵攻略のイメージを脳裏に描いていた。昨年11月には3-4で敗れはしたが、本塁打を含む2安打で意地は見せた。お互いの成長度を確かめるには絶好の舞台となる。

 大松 (昨年の本塁打は)真ん中内角低めを打った。感触は悪くなかった。去年対戦した時より球威、変化球のレベルは上がっているけど、自然体で思い切り振っていけたら。

 攻守に存在感を発揮している。斎藤智也監督(54)が「近年最強」を自負するクリーンアップに目がいきがちだが、下位打線も侮れない。主に8番を任される大松は県大会5試合で13打数5安打7打点と、出た走者の掃除役を立派にこなした。「自分は打てる方ではない。後ろにつなぐ意識でやっている」。東北大会でも15日の利府(宮城2位)戦で2安打し、好調を維持している。

 好リードも光る。エース右腕の衛藤慎也を始め、左横手の高坂右京、秋の県大会で背番号1を任された上石智也(いずれも2年)のタイプの違う3投手を巧みに操る。県大会、東北大会の計7試合47回で失点はわずか3で自責は0。「特長を分かった上でリードしているけど、最後は気持ち。自分が引き出して行ければ」と自信を見せる。

 ゴールは準決勝に勝ってのセンバツ当確ではない。あくまで秋の東北大会を初制覇して、明治神宮大会出場が目標だ。大松は「斎藤監督は神宮を経験してないし、去年は4強で負けた。優勝目指して思い切ってやりたい」と前を向く。難敵撃破なくして、未来はない。【高橋洋平】

 ◆大松将吾(おおまつ・しょうご)2000年(平12)5月10日、千葉・柏市生まれ。土小1年から野球を始め、土中では取手シニアに所属。聖光学院では1年秋に1度ベンチ入りし、2年秋に復帰。174センチ、72キロ。右投げ右打ち。家族は母。