複数の硬式野球部員による飲酒、喫煙行為が発覚した仙台育英(宮城)・佐々木順一朗監督(58)が同校を退職することが19日、分かった。10日の記者会見で、来年1月1日付で監督を辞任すると発表していた。今後は学校には残らず、違う形で野球に関わっていく見込みだ。またこの日、日本学生野球協会が都内で審査室会議を開き、12月5日から来年6月4日までの6カ月間の対外試合禁止処分を発表した。

 激震が止まらない。10日に辞任を発表した佐々木監督は、学校に残らない決断を下した。今後は未定。10日の記者会見では「この責任の重さは重大であると思っています。今後、野球部に笑顔が戻れるように祈っている。申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げていた。

 東北高出身の佐々木監督は95年8月に仙台育英硬式野球部コーチから監督に昇格した。01年のセンバツで準優勝した後に一時期、監督職から離れたが、03年春から監督に復帰した。近年は自主性に委ねる指導法を確立して15年夏の甲子園では準優勝に輝いた。春夏通算19度の聖地に導いた東北きっての名将だった一方で、部員の不祥事で2度も辞任に追い込まれた。01年7月には部員の暴行事件が発生し、報告せずに甲子園に出場して同年9月に監督を辞任。11年4月には部員7人が東日本大震災の被災店舗に侵入したとして、書類送検されていた。

 同校OBで、佐々木監督の愛弟子に当たる新監督の須江航氏(34=現秀光中軟式野球部監督)にとっても厳しい船出となる。6カ月間の対外試合禁止処分を受け、春の県大会につながる地区大会には出場できない。今秋の県大会を6連覇したが、その後の東北大会では日大山形に初戦敗退。チームの底上げに必要な公式戦を経験せず、ぶっつけ本番で甲子園第100回記念大会の宮城大会に臨む。

 この日、同校はホームページ上で飲酒、喫煙の温床となった寮の管理体制を見直すなど、再犯防止策を発表した。春夏通算38度の甲子園出場を誇る名門が、指導スタッフを一新して、一から再出発を図る。