「強打の明秀」甲子園にあり!! 記念大会で例年よりも4校多い36校が参加して開幕。春夏通じて初出場の明秀学園日立(茨城)が瀬戸内(広島)に4-3で逆転勝ちした。1点を追う9回、同点としてなお1死二、三塁で池田陵人外野手(3年)の中犠飛で勝ち越し初勝利を飾った。

 「強打の明秀」を掲げた以上、金沢成奉監督(51)に迷いはなかった。1点を追う9回無死一塁、代打の佐伯に「バントはないぞ」と強攻策を指示。9球目を右前に運び、一、三塁にチャンスを拡大した。

 金沢監督 甲子園が決まった時から、『打ち勝つ』と言ってきましたので、全く迷いませんでした。

 3安打目の増田主将の適時打で同点に追いつき、池田の犠飛で決勝点を挙げた。同校初の甲子園での勝利に「非常に大きな1勝。明秀の金沢としてのスタートです」とかみしめた。

 12年秋、巨人坂本勇らを擁し、計8度甲子園に導いた光星学院(現八戸学院光星)を離れ、明秀学園日立の監督に就任した。ゼロからの再出発だったが、光星学院の総監督時代に全国各地を回って、積み上げた打撃理論が「3年以内に行く」と豪語した「甲子園への道」になった。

 「フライはOK。ボールにバックスピンをかけるイメージで打ちなさい」

 昨年12月、メジャーリーガーや日本ハム清宮らも使用する「スピンティー」を5台購入した。ボールの上半分がゴムに埋め込まれた釣り鐘型のティー打撃練習器具で、金沢監督の理論を体に染み込ませるには最適の「秘密兵器」だった。

 1日1200スイングや約13メートルの近距離打撃で鍛えたスイング力に、技術が加わった。この日は27アウト中、ライナーを含む17個がフライアウト。セーフティー、犠打を除くゴロアウトは4個だった。「甲子園で勝つには代名詞が必要だと。『強打の明秀』が、外野の深いポジションにもつながったのかなと」。打撃も、チームの勢いも“上がる”歴史的1勝を刻んだ。【久保賢吾】