磐城が3位決定戦で光南を延長13回タイブレークの末、1-0のサヨナラ勝ちで振り切り、2年ぶり14度目の東北大会出場を決めた。先発左腕の小山泰生(3年)が13回5安打11奪三振無失点で完投。前日27日の準決勝では熱中症に倒れたが、大一番で立ち直った。最後は3番近藤琢磨外野手(3年)の左中間二塁打で試合を決めた。6月7日から青森で開幕する東北大会の6県全18代表が出そろい、組み合わせ抽選会は明日30日に行われる。

 病み上がりの小山は、ベンチ内で号泣した。13回裏1死一、二塁。近藤の打球が左中間を破った瞬間、背番号3の涙があふれ出した。前日の準決勝は一塁守備で熱中症を発症し、試合途中でベンチに退いてチームも敗れた。この日はイニング間の水分補給を徹底し、2年ぶりの東北切符が懸かった大一番で完全復調。13回を完封してみせた。

 小山 昨日は5回ぐらいから手足がしびれてきた。ああいう形で離脱するのは申し訳なかった。今日は涼しかったのでラッキー。しっかり体調を整えられた。負けられない戦いで、覚悟を決めていた。うれしい。

 前日の体調不良を感じさせない完璧な投球内容だった。走者を出すとギアを踏み込み、自己最速タイの139キロ直球をコースに投げ込んだ。無死一、二塁から始まるタイブレークの延長13回を無失点に抑え、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。先頭をバント失敗に追い込み、次打者には低めの外角直球で遊直併殺。「慌てることなく、丁寧に投げられた。今日は守りに助けられた」と胸を張った。

 木村保監督(47)のゲキに応えた。前日は試合後の整列に参加できないぐらいの体調不良だったが、その後はひたすら頭を冷やすなどして静養。夕食後に体調回復を告げにいくと、その場で先発を言い渡された。小山は「頭から行けと言われて、やったと思った。投げたかった」と目を輝かせた。この日の朝食では、サヨナラ打を打った近藤から「食欲が足りないぞ」とご飯を無理やり食べさせられた。近藤は「今日は小山のおかげ。いっぱいエネルギーを補給して、よく投げてくれた」とねぎらった。

 東北大会でさらに経験値を積み、23年ぶりの夏につなげる。「高いレベルを経験して夏に弾みをつけて、甲子園切符を取りたい」。完全復調した小山の左腕に、つかみとれないものは何もない。【高橋洋平】