日本文理(新潟)は、坂井(福井)との準々決勝を3-2の接戦で勝ち、4強入りを決めた。1回2死から3番打者の先川大智中堅手(3年)が中前打。1年夏から主力で活躍する中心打者が、3得点への突破口を開いた。北信越大会2試合通算9打数6安打の好調ぶりを見せつけた。

 初回に見せた3得点劇の口火を切ったのは、先川のバットだった。2死で巡ってきた初打席だ。坂井のエース帰山慎投手(3年)の決め球スライダーを狙い打ち。ちょっぴりフォームを崩されながら放った打球は、二遊間を割った。「打者3人で終わらせない。自分が出塁して、次につなげたいと思った」。その執念が呼び水となって後続が連続四球に連続安打。初回の3点は、相手が追いつけない大きな数字になった。

 坂井との準々決勝は4打数2安打の5割。金沢学院(石川)との1回戦5打数4安打を合わせて北信越大会は2試合9打数6安打の打率6割6分7厘と大暴れの真っ最中だ。「先川、鈴木(裕太投手)、新谷(晴投手)がチームの3本柱」と言う鈴木崇監督(37)が、3人の中でただ1人の野手・先川をこう評した。「中心選手としての重圧がかかる中で、セルフコントロールができている。重圧の中で結果を出せる選手はなかなかいない」。

 3番、中堅手の先川は、県内屈指の強豪校・日本文理で1年夏に背番号5をつけた。新発田市・猿橋中では軟式野球に取り組んでいたが、入学時から期待されていたホープだった。「なりふり構わず、1年生らしさを出していた。横を見ずに真っすぐ前だけを見て思い切りやっていた」。初々しく野球に取り組んできた先川も最終学年の3年生。チームを引っ張る立場になった。

 「新チームになった時に打撃で引っ張り、貢献したいと思っていた」。その思惑通りに、北信越大会で打撃を爆発させ続けている。「今大会は毎回得点して、相手に流れを渡さない野球をしたい。つないで走者をためて、大量得点も取りたい」。先川の思惑通りの野球をする機会はまだ、ある。【涌井幹雄】